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戦争社会学ブックガイド

現代世界を読み解く132冊


野上 元 編 / 福間 良明 編

単行本 ¥2,090

刊行年月日:2012/03/07
ISBN:978-4-422-30042-9
定価:2,090円(税込)
判型:四六判
造本:並製
頁数:320頁

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内容紹介

日本における戦争社会学の誕生を告げる画期的ブックガイド

第一次大戦後、あらゆる戦争は、すべての国民・資源を動員する「総力戦」の時代に入った。その動員は、学校や企業に典型のごとく、平時においても継続することを辞めない。つまり社会が戦時体制化したのである。その不可視の動員を解くには、社会の戦時体制下を可視化する試み、すなわち<戦争社会学>の構築がまずは必要であろう。40代の編者を中心に執筆者40名を擁して編まれた、世界で初めての<戦争社会学>ブックガイド。
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目次

[目次]

イントロダクション 戦争社会学とは何か(野上元)

■第一部 「戦争の社会学」への招待

★第一章 戦争を社会学的に考えるための一二冊

*戦争を社会学する(荻野昌弘)――ロジェ・カイヨワ(秋枝茂夫訳)『戦争論――われわれの内にひ  そむ女神ベローナ』 
*超国家主義(植村和秀)――丸山眞男『現代政治の思想と行動』
*戦時国家と社会構想(井上義和)――筒井清忠『二・二六事件とその時代――昭和期日本の構造』
*総力戦がもたらす社会変動(佐藤卓己)――山之内 靖・成田龍一・ヴィクター・コシュマン編『総力戦と現代化』
*メディアと総力戦体制(難波功士)――佐藤卓己『現代メディア史』岩波書店・一九九八年
*戦争と視覚文化(野上元)――ポール・ヴィリリオ『戦争と映画――知覚の兵站術』
*体験を記述する営み(與那覇潤)――野上元『戦争体験の社会学――「兵士」という文体』弘文堂・二〇〇六年
*シンボルと大衆ナショナリズム(佐藤成基)――ジョージ・L・モッセ(宮武実知子訳)『英霊――創られた世界大戦の記憶』
*日常のなかの戦場動員(石原俊)――冨山一郎『戦場の記憶』
*戦場体験者のコミュニティ(野上元)――高橋三郎編『共同研究・戦友会』
*兵士たちの戦後と証言の力学(福間良明)――吉田裕『兵士たちの戦後史(戦争の経験を問う)』
*忠誠」から「反逆」へ(福間良明)――渡辺清『私の天皇観』

■第二部 戦争を読み解く視覚 

★第一章 戦争・軍隊・社会

オーバービュー(野上元)

*戦争の文明史(野上元)――マーシャル・マクルーハン、クエンティン・フィオール『地球村の戦争と平和』、ウィリアム・H・マクニール『戦争の世界史――技術と軍隊と社会』
*戦争と近代(遠藤知巳)――細見和之『「戦後」の思想ーーカントからハーバマスへ』
*戦争の二〇世紀(内田隆三)――多木浩二『戦争論』、桜井哲夫『戦争の世紀――第一次世界大戦と精神の危機』
*機関銃の社会史(野上元)――ジョン・エリス『機関銃の社会史』、松本仁一『カラシニコフ1・2』
*空爆の社会史(山本唯人)――荒井信一『空爆の歴史――終わらない大量虐殺』、前田哲男『戦略爆撃の思想――ゲルニカ―重慶―広島への軌跡』
*国家のシステムと暴力(新倉貴仁)――アンソニー・ギデンズ『国民国家と暴力』
*戦争とジェンダー/セクシュアリティ(佐藤文香)――上野千鶴子『ナショナリズムとジェンダー』、ジョージ・L・モッセ『ナショナリズムとセクシュアリティ――市民道徳とナチズム』
*近代組織としての軍隊(鈴木直志)――ラルフ・プレーヴェ『19世紀ドイツの軍隊・国家・社会』創元社・二〇一〇年
*軍事エリートの社会学(井上義和)―山口定『ナチ・エリート――第三帝国の権力構造』、永井和『近代日本の軍部と政治』、広田照幸『陸軍将校の教育社会史――立身出世と天皇制』
*失敗の本質(遠藤知巳)――戸辺良一ほか『失敗の本質――日本軍の組織論的研究』
*徴兵制(趙慶喜)――大江志乃夫『徴兵制』、一ノ瀬俊也『近代日本の徴兵制と社会』、尹載善『韓国の軍隊――徴兵制は社会に何をもたらしているか』
*日本の軍隊(福間良明)――吉田 裕『日本の軍隊――兵士たちの近代史』、吉田裕『日本の軍隊』
*入営と錬成(一ノ瀬俊也)―一ノ瀬俊也『皇軍兵士の日常生活』、一ノ瀬俊也『明治・大正・昭和軍隊マニュアル――人はなぜ戦場へ行ったのか』、原田敬一『国民軍の神話――兵士になるということ』
*女性動員から女性兵士へ(佐藤文香)――加納実紀代『女たちの「銃後」』、佐々木陽子『総力戦と女性兵士』、佐藤文香『軍事組織とジェンダー――自衛隊の女性たち』
*軍隊と地域(河西英通)――河西英通『せめぎあう地域と軍隊――「末端」「周縁」軍都・高田の模索(戦争の経験を問う)』
*銃後としての地域社会(一ノ瀬俊也)――一ノ瀬俊也『故郷はなぜ兵士を殺したか』、板垣邦子『日米決戦下の格差と平等――銃後信州の食糧・疎開』
*戦場と住民(石原俊)――大城将保『沖縄戦――民衆の眼でとらえる[戦争]』、石原俊『近代日本と小笠原諸島――移動民の島々と帝国』、林博史『沖縄戦――強制された「集団自決」』

★第二章 戦時下の文化――知・メディア・大衆文化

オーバービュー(福間良明)

*体制下の公共性(赤上裕幸)――佐藤卓己『「キング」の時代――国民大衆雑誌の公共性』、ヴィクトリア・デ・グラツィア『柔らかいファシズム――イタリア・ファシズムと余暇の組織化』
*日本主義とは何だったのか(井上義和)――竹内洋・佐藤卓己編『日本主義的教養の時代――大学批判の古層』、井上義和『日本主義と東京大学――昭和期学生思想運動の系譜』
*「帝国」の視線と自己像 (新倉貴仁)――酒井直樹ほか編『ナショナリティの脱構築』、坂野徹『帝国日本と人類学者――一八八四―一九五二年』
*戦意高揚とマスメディア(河崎吉紀)――竹山昭子『史料が語る太平洋戦争下の放送』、今西光男『新聞資本と経営の昭和史――朝日新聞筆政・緒方竹虎の苦悩』、津金澤聰廣・有山輝雄編著『戦時期日本のメディア・イベント』
*大衆宣伝(小林聡明)――大田昌秀『沖縄戦下の米日心理作戦』、山本武利『ブラック・プロパガンダ――謀略のラジオ』
*戦時の娯楽(赤上裕幸)――古川隆久『戦時下の日本映画――人々は国策映画を観たか』、ピーター・B・ハーイ『帝国の銀幕――十五年戦争と日本映画』
*軍神・英雄の肖像(塚田修一)――山室建徳『軍神――近代日本が生んだ「英雄」たちの軌跡』、多木浩二『天皇の肖像』
*敵のイメージ(石田あゆう)――ジョン・W・ダワー『容赦なき戦争――太平洋戦争における人種差別』、サム・キーン『敵の顔――憎悪と戦争の心理学』
*身体への照準(高井昌吏)――坂上康博『権力装置としてのスポーツ――帝国日本の国家戦略』、坂上康博・高岡裕之編『幻の東京オリンピックとその時代――『戦時期のスポーツ・都市・身体』、高井昌吏・古賀篤『健康優良児とその時代――健康というメディア・イベント』
*戦争と平準化(祐成保志)――井上雅人『洋服と日本人――国民服というモード』、祐成保志『〈住宅〉の歴史社会学――日常生活をめぐる啓蒙・動員・産業化』
*戦時下の日常(木村豊)――喜多村理子『徴兵・戦争と民衆』、乾淑子『戦争のある暮らし』
*女性イメージの変容(石田あゆう)――若桑みどり『戦争がつくる女性像 第二次世界大戦下の日本女性動員の視覚的プロパガンダ』
*『聖戦』『正戦』の綻び(岩間優希)――川村邦光『聖戦のイコノグラフィ――天皇と兵士・戦死者の図像・表象』
*戦時下の抵抗(山本昭宏)――同志社大学人文科学研究所編『戦時下抵抗の研究――キリスト者・自由主義者の場合 Ⅰ・Ⅱ』、家永三郎『太平洋戦争』
*占領はいかに受容されたか(南 衣映)――ジョン・ダワー『敗北を抱きしめて(上)(下)』
  
★第三章 体験の理解と記憶の解釈

オーバービュー(福間良明)

*戦争体験への固執(福間良明)――安田武『戦争体験――一九七〇年への遺書』、吉田満『「戦艦大和」と戦後』
*体験者の心情を読み解く(青木秀男)――森岡清美『決死の世代と遺書――太平洋戦争末期の若者の生と死』、森岡清美『若き特攻隊員と太平洋戦争――その手記と群像』
*記憶と忘却(山口誠)――米山リサ『広島 記憶のポリティクス』、山口誠『グアムと日本人 戦争を埋立てた楽園』
*終戦・敗戦の記憶(菊池哲彦)――佐藤卓己『八月十五日の神話――終戦記念日のメディア学』、生井英考『負けた戦争の記憶――歴史のなかのヴェトナム戦争』
*植民・引揚と「帝国」の記憶(坂部晶子)――蘭信三『「満州移民」の歴史社会学』、坂部晶子『「満洲」経験の社会学――植民地の記憶のかたち』
*トラウマとしての戦争体験(直野章子)――下河辺美知子『トラウマの声を聞く――共同体の記憶と歴史の未来』、森茂起『トラウマの発見』
*体験の記述を読み解く(山本昭宏)――川村湊・成田龍一・上野千鶴子・奥泉光・イ・ヨンスク・井上ひさし・高橋源一郎『戦争はどのように語られてきたか』、開高健『紙の中の戦争』岩波書店・一九九六年(同時代ライブラリー版)
*戦争体験言説の戦後史(與那覇潤)――高橋三郎『「戦記もの」を読む――戦争体験と戦後日本社会』、成田龍一『「戦争経験」の戦後史――語られた体験/証言/記憶』、與那覇潤『帝国の残影――兵士・小津安二郎の昭和史』
*戦争観の変容(成田龍一)――吉田裕『日本人の戦争観――戦後史のなかの変容』、油井大三郎『なぜ戦争観は衝突するか――日本とアメリカ』
*戦後思想と戦争体験(與那覇潤)――小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉――戦後日本のナショナリズムと公共性』、大門正克編『昭和史論争を問う――歴史を叙述することの可能性』
*戦争体験の継承と断絶(浜日出夫)――浜日出夫編『戦後日本における市民意識の形成――戦争体験の世代間継承』、桜井厚・山田富秋・藤井泰編『過去を忘れない――語り継ぐ経験の社会学』、関沢まゆみ編『戦争記憶論――忘却、変容そして継承』
*メディアの機能と語りの位相差(福間良明)――福間良明『「反戦」のメディア史――戦後日本における世論と輿論の拮抗』、福間良明『殉国と反逆――「特攻」の語りの戦後史』
*戦争遺跡と文化遺産(木村至聖)――荻野昌弘編『文化遺産の社会学――ルーヴル美術館から原爆ドームまで』、本康宏史『軍都の慰霊空間――国民統合と戦死者たち』
*軍事博物館・平和博物館の社会学(野上元)―― 歴史教育者協議会編『平和博物館・戦争資料館ガイドブック』
*「被害」と「加害」の架橋(川口隆行)――小田実『「難死」の思想』、川口隆行『原爆文学という問題領域』
*「断絶」の錯綜と世代(福間良明)――福間良明『「戦争体験」の戦後史――世代・教養・イデオロギー』、福間良明『焦土の記憶――沖縄・広島・長崎に映る戦後』

★第四章 戦争の〈現在〉歴史の重みと不透明な未来

オーバービュー(野上元)

*戦争報道(岩間優希)――フィリップ・ナイトリー『戦争報道の内幕――隠された真実』、橋本晃『国際紛争のメディア学』
*責任と倫理(橋爪大三郎)――加藤尚武『戦争倫理学』、三浦俊彦『戦争論理学――あの原爆投下を考える62問』
*日本の戦争責任(石原俊)――家永三郎『戦争責任』、大沼保昭『東京裁判、戦争責任、戦後責任』、金富子・中野敏男編著『歴史と責任――「慰安婦」問題と一九九〇年代』
*戦死者のゆくえ(川村邦光)――川村邦光編『戦死者のゆくえ――語りと表象から』、今井昭彦『近代日本と戦死者祭祀』
*靖国問題の戦後史 (赤江達也)――赤澤史朗『靖国神社――せめぎあう〈戦没者追悼〉のゆくえ』、高橋哲哉『靖国問題』
*語りえぬものと証言・証拠(鈴木智之)――ソール・フリードランダー編『アウシュヴィッツと表象の限界』、高橋哲哉『記憶のエチカ――戦争・哲学・アウシュヴィッツ』
*冷戦と表象(菊池哲彦)――スーザン・ソンタグ『他者の苦痛へのまなざし』、ジャン・ボードリヤール『湾岸戦争は起こらなかった』
*冷戦と世界内戦(植村和秀)――カール・シュミット『パルチザンの理論――政治的なるものの概念についての中間所見』
*大衆文化と戦争の痕跡(山本昭宏)――好井裕明『ゴジラ・モスラ・原水爆 特撮映画の社会学』、吉村和真・福間良明編『「はだしのゲン」がいた風景――マンガ・戦争・記憶』
*ポップな戦争(塚田修一)――中久郎編『戦後日本のなかの「戦争」』、佐藤卓己編・日本ナチカルチャー研究会著『ヒトラーの呪縛』
*これは『戦争』か(和田伸一郎)――ポール・ヴィリリオ『幻滅への戦略――グローバル情報支配と警察化する戦争』
*『新しい戦争』と私たちの関与(和田伸一郎)――ウルリッヒ・ベック『世界リスク社会論――テロ、戦争、自然破壊』

あとがき
参考文献

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著者紹介

[編]野上 元(ノガミ ゲン)
1971年東京都生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授。東京大学大学院人文社会系研究科社会文化研究専攻。博士(社会情報学)。専門は歴史社会学・社会情報学。著書に『戦争体験の社会学──「兵士」という文体』(弘文堂・2006年)、共編著に『カルチュラル・ポリティクス1960/70』(せりか書房・2005年)、共著に『岩波講座アジア・太平洋戦争2・戦争の政治学』(岩波書店・2005年)等がある。

[編]福間 良明(フクマ ヨシアキ)
1969年熊本県生まれ。立命館大学産業社会学部准教授。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了。博士(人間・環境学)。専門は歴史社会学・メディア史。『「反戦」のメディア史――戦後日本における世論と輿論の拮抗』(世界思想社・2006年)で第1回内川芳美記念マス・コミュニケーション学会賞を受賞。著書に『「戦争体験」の戦後史――世代・教養・イデオロギー』(中公新書・2009年)、『焦土の記憶――沖縄・広島・長崎に映る戦後』(新曜社・2011年)等がある。

※著者紹介は書籍刊行時のものです。
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