おすすめの新刊や話題の書籍を、教育・図書館関係者さまの推薦のことばとともにご紹介します。
不確かな時代を共に生きていくために必要な「自ら考える力」「他者と対話する力」「遠い世界を想像する力」を養う多様な視点を提供する、10代から読める人文書シリーズ。
政治の必要性や主要な統治方法・制度、政治哲学から、今日における国際的課題まで、政治のありようを簡潔な解説と豊富なイラストで示した、これまでにないビジュアル図鑑。
まるで授業を受けているような感覚が味わえる読みやすくて楽しい入門書。高校の「情報」の学習範囲に準拠し、写真や図表を豊富に掲載。学生から社会人まで役立ちます。
アナウンサーの子猫ねこと解説の絹田狸が、世界中の話題を紹介する抱腹絶倒の回文絵本!難しい回文も絵のおかげで楽々マスター。QRを読み取ると朗読動画が視聴可能。
図書館関係者★★★★★
私はニュース番組が結構好きでよく見ていた。
ニュースってこのさらりとしたテンポがなじみがあって楽しいのだ。
回文はとても思ったよりたくさんあるし、絵の軽さが日常のリアリティをモニタに通したような感触で、無理やり回文にしたというよりも、簡単さというか単純に作れる感ある。
絵本を読むのは、結構じっとわからないと止まってしまったり、理解できない時に見返したりして進むけれど、この本は、ずーっと流れても、読んであげても流れても、理解できなくて飛ばしていっても、ニュース観ているようにBGMでもいい。
回文の嫌味や複雑さが楽しさに代わる、日常を家で感じれる楽しい本ですよ。
図書館関係者★★★★★
回文絵本って事を忘れてしまう程、完成度が高く、あべさんの動物絵本は裏切らない!
普通に面白絵本として楽しんでしまいました。
通常通りに一読、2度目はQRコードを読み取って音声再生しながらもう一度。面白回文ニュースでも、さすがプロのアナウンサーと実感。
読むことが苦手な子も楽しめます。
回文部分は他の文章とは色が違って、わかりやすく、でも違和感はない。
工夫が盛りだくさんで、多種多様な楽しみ方が出来ました。
美しい風景、壮大な建造物、歴史的な都市や古代の遺跡などさまざまな自然遺産、文化遺産をとりあげ、遺産を守るために、人々がどのように力を合わせているかを紹介します。
図書館関係者★★★★★
世界遺産のはじまり、歴史などがわかりやすく説明されていて、へ〜と思うことばかりだった。
危機遺産のことからは、環境問題やオーバーツーリズムについて考えることができる。
修学旅行の前に読んでもいい視点が得られそう。
世界遺産に関わる仕事の紹介もあり、キャリア教育にも使えそうだ。
世界遺産とは何か、その意味と意義がしっかり理解できる。
勉強になった。
子どもの本に関わる質問や疑問にQ&A形式でお答えします。内容は月替わりで更新いたします。
※2013年8月刊行『子どもの本100問100答』(一般財団法人大阪国際児童文学振興財団編)より抜粋
(2023.11.15更新)
子どもの本には、近年、現実の社会を反映してさまざまな障がいを抱えて いる人を描いた作品が増えており、自閉症の子どもを描いた作品も出版され ています。自閉症の定義は専門家によってちがいが見られますが、『ぼくらの 中の発達障害』*1には、「自閉症の基本障害は言語/認知機能の障害」*2とあり、 「人と関わるための基本的な能力の発達が遅れているために、『自閉』している ように見える」とあります。そして、自閉症傾向を認めるものに、言葉の発達 に遅れがないアスペルガー症候群や、知的な障がいを伴わない障がいである 高機能自閉症があり、これを総称して広汎性発達障害と呼ばれていると書か れています。子どもの本の中では、必ずしも障がい名を特定せず、症状が書か れている作品もあるため、本稿では、広汎性発達障害をもつ子どもを描いた 作品を対象とすることにします。
『リーコとオスカーともっと深い影』*3は、特別支援学校に通うリーコが主 人公です。リーコは、まっすぐな道しか歩けないなど、社会生活を営むのに困 難を抱えていますが、一方で他人の思いもよらないことに気づいたり、記憶 したりすることができ、誘拐された友だちを救い出すことに成功します。
『ベンとふしぎな青いびん ぼくはアスペルガー症候群』*4のベンは、コン ピュータや算数、理科は得意ですが、先生や友だちの言葉が理解できないと きがあって、先生を怒らせてしまいます。けれども、父や祖母、親友のアンディ によって支えられています。この作品は、ベンとアンディが、校庭で見つけた 青いびんに願いごとをしたら、宝くじが当たるなど、不思議なことが次々に 起こるというストーリーで、作品のなかで父や教師が医者からベンの障がい について学んでいます。
一方、広汎性発達障害の家族と一緒に住む少女や少年を描いた作品もあり ます。『ルール』*5は、自閉症の弟をもつ12歳の少女キャサリンの葛藤を描い た作品です。弟のことを深く愛しつつも、新しく越してきた少女に打ち明け られずに苦しみます。『アル・カポネによろしく』*6は、自閉症の16歳の姉を母 親が周囲に10歳と紹介することに反発し、ありのままの姉を受け止めるべき だと母親に訴える12歳の少年ムースが主人公です。
日本の作品は、まだまだ数は少ないですが、『おまけ鳥』*7の主人公である 中学1年の翔の姉と翔の両親が経営するラーメン屋に修行にやってくる少年は、 物事の手順や行動にこだわりがあります。翔は姉を深く愛し、2人の障がいの ちがいを理解しながら、それぞれのもつ才能を認めて一緒にクリスマスイベ ントでお店を出します。
また、発達障害には、注意欠如・多動性障害、学習障害があります。学習障 害の一種であるディスレクシアの子どもが主人公の作品には『11をさがして』*8 や絵本『ありがとう、フォルカーせんせい』*9などがあります。
広汎性発達障害について知る本としては、小学生対象には、アスペルガー症 候群の著者が、自分の障がいを絵と文で説明した『アスペルガーの心』1、2*10 や『みんなで考えよう障がい者の気持ち7 自閉症』*11があります。また、中 学生以上には、『ぼくらの中の発達障害』*12が最新の研究状況を含めてわかり やすく書かれています。ブックガイドとしては、『からだといのちに出会うブッ クガイド』*13、『児童文学のなかの障害者』*14、『やさしさと出会う本 「障害」 をテーマとする絵本・児童文学のブックガイド』*15などがあります。
*注1.青木省三著、ちくまプリマー新書、筑摩書房、2012 *注2.それは、生物学的要因(脳の軽微な障害、脳の働き方の障害)と書かれている。 *注3.アンドレアス・シュタインヘーフェル作、森川弘子訳、岩波書店、2009 *注4.キャシー・フープマン作、代田亜香子訳、あかね書房、2003 *注5.シンシア・ロード作、おびかゆうこ訳、主婦の友社、2008 *注6.ジェニファ・チョールデンコウ著、こだまともこ訳、あすなろ書房、2006 *注7.飯田朋子著、新日本出版社、2012 *注8.パトリシア・ライリー・ギフ作、岡本さゆり訳、文研出版、2010 *注9.パトリシア・ポラッコ作・絵、香咲弥須子訳、岩崎書店、2001 *注10.フワリ作・絵、偕成社、2012 *注11.玉井邦夫著、学研教育出版、2010 *注12.青 木省三著、筑摩書房、2012 *注13.健康情報棚プロジェクト・からだとこころの発見塾編、読書 工房、2008 *注14.長谷川潮著、ぶどう社、2005 *注15.菊地澄子他編、ぶどう社、1990
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