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箱庭療法学モノグラフ 第7巻
人形遊びの心理臨床
菱田 一仁 著
内容紹介
遊戯療法や箱庭療法で頻繁に使う人形。意外に知られていないその意味や役割を考える。
雛人形、ぬいぐるみ、フィギュア……。生活に人形は深く結び付いている。遊戯療法や箱庭療法において人形を使う際も、人形はそのための道具として見られている。心理療法の場面で人形自体が持っている意味や役割については、これまで十分に検討されてこなかった。それは、人形が重要でないからではなく、あまりに身近なものであるがゆえに見逃されてきたのかもしれない。本書では、そうした「人形」に焦点を当てる。
人形は「私」であって「私」ではない存在として、人の生きる苦しみを託されている。それが心理臨床のテーマといかに通底しているか。民間信仰における人形や遊びの歴史における人形、また現代における人形的なものとして「初音ミク」などのキャラクターも取り上げ、日本文化や社会の中での人形の存在意義や役割を幅広く考察していく。もっと見る
目次
序章 心理臨床における人形
第1章 心理臨床と人形の歴史
1.なぜ心理臨床と人形なのか
2.遊戯療法と人形
3.遊ぶことの意義と玩具の意味
4.芸術療法と人形
5.心理臨床の起源と人形
6.民間信仰における人形
7.日本における治療の歴史と人形
8.現代日本の人形と信仰
9.歴史的な観点と心理臨床の接点
第2章 「私」であって「私」ではないものとしての人形
1.人形と心理臨床
2.弄ばれるということ
3.「私」であって「私」ではないものとしての人形
4.二重性を生きるものとしての人形
5.人形から見た被弄性
6.人形とエロティシズム
7.代受苦の具としての人形
8.関係をつなぐものとしての人形
9.心理臨床における人形と代受苦
第3章 人形と無限性
1.代受苦の具としてではない人形
2.魂を持ったものとしての人形
3.人形と自己愛
4.人形とサディズム
5.人形と無限性
6.関係を切り、つなぐものとしての人形と共同体
7.心理臨床における人形と枠
8.開かれると同時に守るものとしての人形
第4章 遊びと人形
1.人形と遊び
2.遊びと人間
3.遊戯療法における「遊び」に関する研究の概観
4.歌舞・管絃、芸能と遊び
5.狩猟と遊び
6.遊びと遊女
7.儀礼と遊び
8.ヌミノース的な体験としての遊び
9.現代の遊びとヌミノース的体験
10.玩具としての人形と遊ぶこと
11.遊びの二重性
12.遊びと人形
第5章 人形の意義と心理臨床の中での役割
1.事例の中での遊びと人形
2.人形の使われる①のパターン
3.②のパターン
4.③のパターン
5.人形を使う3つのパターン
6.事例の検討
7.事例の理解について
8.プレイのテーマと人形
9.二・五者関係と関係を築くこと
10.二・五者関係と関係から守ること
11.遊戯療法における人形の役割
第6章 現代の人形
1.人形であって人形ではない「私」
2.『七つの人形の恋物語』―「私」であって「私」ではないものとしての人形―
3.『イノセンス』―人形としての「私」と葛藤―
4.『空気人形』―身体のみの「私」―
5.「初音ミク」―身体のない「私」―
6.人と物の間に生きる人形
第7章 心理臨床のテーマと人形
1.心理臨床のテーマとしての「私の心理学」
2.「私」が「私」であるということの持つ内的な分裂
3.「私」が「私」であるということの持つ外的な分裂
4.「私」が「私」であることの痛み
5.「私」が「私」であることの痛みと心理臨床
6.心理臨床のテーマと人形
7.人形とイメージ
8.人形と共感
9.おわりに
終章
引用文献
索引
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著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]菱田 一仁(ヒシダ カズト)
菱田一仁(ひしだかずと)
1984年生。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)。臨床心理士。京都橘大学健康科学部心理学科助教。専門は臨床心理学。京都府スクールカウンセラー、宇治市適応指導教室Ujiふれあい教室相談員、京都桂病院臨床心理士などを経て現職。主な論文に、「菱田一仁(2012)人形の象徴性と心理臨床における人形のあり方について 箱庭療法学研究 25(2)」、「菱田一仁(2016)“遊び”の観点から見る箱庭と箱庭療法 箱庭療法学研究 29(3)」、「菱田一仁(2012)アジールとしての適応指導教室、京都大学大学院教育学研究科紀要(58)」、「菱田一仁(2017)心理臨床の場面でアイドルについて語ることの意義に関する一考察 京都橘大学心理相談研究(3)」などもっと見る
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