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アカデミア叢書
〈私〉を生きる心理臨床
「水平性をめぐる動き」と「垂直性をめぐる動き」から
小山 智朗 著
内容紹介
〈私〉を生きるという視点から見えるものは
本書で〈私〉とは、自らの持てる可能性を最大限に発揮して生き、主体的に他者と深く関わり合いながら、認識を新たにしていき、常に変化に開かれた主体と考えられている。〈私〉を生きるとはどのようなありかたなのか、またそのプロセスを心理臨床家はいかに支えられるのか。〈私〉と近縁の心理学的概念との比較といった理論的検討に加え、水平性をめぐる動き、垂直性をめぐる動きという観点から事例場面の検討をおこない考察する。もっと見る
目次
はじめに
第1部 〈私〉をめぐる理論
第1章 問題提起と本書の構成
1. 心理臨床学における「私」という言葉
1-1. 「私」の辞書的意味
1-2. 心理臨床学における「私」に関する先行研究
1-3. 「私」という言葉の意味
2. 本書における〈私〉
2-1. 木村敏の主体
2-2. 本書における〈私〉を生きるとは
3. 本書の目的と方法
第2章 〈私〉に関する心理学的概念からの検討
1. 〈私〉と近縁の心理学的概念との比較
1-1. 自我
1-2. アイデンティティ
1-3. 自己
1-4. 近代的主体
1-5. わが国の心理臨床学における主体
2. 〈私〉独自の特徴
2-1. 実体ではない動き
2-2. 他者との濃密な関わり合い
2-3. 生涯を通した変化
3. 否定性という視点
3-1. 転移という視点からみた否定的感情
3-2. 否定性という視点からみた否定的感情
第3章 「水平性をめぐる動き」「垂直性をめぐる動き」からみた〈私〉
1. 「水平性をめぐる動き」「垂直性をめぐる動き」という観点
1-1. 「行為」と「認識」という観点
1-2. 「水平性をめぐる動き」「垂直性をめぐる動き」とは
2. 「水平性をめぐる動き」「垂直性をめぐる動き」からみた主体の歴史的変遷
2-1. プレモダン的な主体――主体は超越者に
2-2. 近代的な主体――主体は人間に
2-3. ポストモダン的な主体――主体の解体
3. 本章のまとめ――歴史的な文脈からみた〈私〉を生きるという視点の意味
第2部 〈私〉が生成する心理療法の実際
第4章 自閉症スペクトラム障害の子どもの〈私〉
1. 自閉症スペクトラム障害の子どもにおける〈私〉を生きるという視点
1-1. 自閉症スペクトラム障害をめぐる研究の歴史
1-2. 心理療法的アプローチの可能性
1-3. 自閉症スペクトラム障害における〈私〉を生きるという視点の可能性
2. 事例場面から
2-1. セラピストとの交流の始まり
2-2. 〈私〉の兆し
2-3. 〈私〉を育む関わり
2-4. 〈私〉の生成
2-5. 「問題行動」とされる事象の再考
2-6. 〈ハプニング〉との関わり
3. 本章のまとめ
3-1. 自閉症スペクトラム障害におけるセラピストの関わり
3-2. 自閉症スペクトラム障害の子どもにおける〈私〉を生きるという視点の意味
3-3. 否定性の意味
第5章 神経症の〈私〉
1. 神経症における〈私〉を生きるという視点
1-1. 神経症概念をめぐる研究の歴史
1-2. 神経症における〈私〉を生きるという視点の可能性
2. 事例場面から
2-1. 他者の攻撃性の不安
2-2. 自らの攻撃性の不安
2-3. 〈私〉の停滞
2-4. 〈私〉の賦活
2-5. 〈私〉の生成
3. 本章のまとめ
3-1. 神経症における〈私〉の生成
3-2. 神経症における否定性の意味
3-3. 神経症における〈私〉を生きるという視点の意味
第6章 母親面接の〈私〉
1. 母親面接における〈私〉を生きるという視点
1-1. 母親面接をめぐる研究の歴史――2つの方向性
1-2. 母親面接における〈私〉を生きるという視点の可能性
2. 母親面接におけるセラピストの役割
2-1. 母親面接における基本的な関わり
2-2. 母親面接における2つの視点
2-3. 母親面接における〈私〉を生きることの難しさ
3. 事例場面から
3-1. 事例α
3-2. 事例β
4. 本章のまとめ
4-1. 母親面接における否定性の意味
4-2. 〈私〉を生きるプロセスにおける「揺れ動き」の意味
4-3. 母親面接における〈私〉を生きるという視点の意味
第3部 〈私〉が生成する心理療法とは
第7章 〈私〉を生きるプロセスを支えるセラピストの姿勢
1. 基本的な姿勢
1-1. 心理療法における基本的な関わりについて
1-2. 心理療法における基本的な関わりの意味
2. 〈私〉の生成のための関わりの工夫
3. セラピストの関わりに潜む操作性
4. セラピストが〈私〉を生きること
4-1. 「セラピストが〈私〉を生きる」という視点
4-2. セラピストの〈私〉の「解体」
4-3. セラピストの〈私〉の「生成」
4-4. セラピストが〈私〉の「解体」と「生成」のプロセスを生きる意味
第8章 総合考察
1. 〈私〉とは何か
1-1. 他者や世界との相互の関わり合い
1-2. 絶えざる変化――可変性
1-3. 絶えざる変化の維持――不変性
1-4. 「解体」と「生成」のプロセスを生きること
1-5. 本節のまとめ
2. 〈私〉を生きるプロセスにおける否定性の意味
2-1. 〈私〉を生きる苦しみの表現としての否定性
2-2. 〈私〉を生きるプロセスにおける否定性の創造的意味
2-3. 否定性の心理学的理解
2-4. 否定性へのセラピストの関わり
3. 「水平性をめぐる動き」「垂直性をめぐる動き」という観点の意味
3-1. 「水平性をめぐる動き」という観点の意味
3-2. 「垂直性をめぐる動き」という観点の意味
4. 〈私〉を生きるという視点の意味
4-1. 他者や世界との関わり合いを通じた絶えざる変化の理解
4-2. 影を抱えた人間の成熟の理解
4-3. セラピストの内的体験の理解
5. 今後の展望と課題
5-1. 本書で検討した概念について
5-2. 事例の普遍性について
おわりに
文献
索引
あとがき
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著者紹介
※著者紹介は書籍刊行時のものです。[著]小山 智朗(コヤマ トモアキ)
小山智朗(こやま・ともあき)
1971年丹波篠山市に生まれる。大阪市立大学文学部卒業、甲南大学人文科学研究科修士課程修了、京都大学教育学研究科博士課程研究指導認定退学。教育学博士。現在は、京都先端科学大学准教授、京都大学非常勤講師。臨床心理士、公認心理師。関心は、バックパッカー的な生き方、講義で学生の笑いを取ること。著訳書に『「発達障害」と心理臨床(京大心理臨床シリーズ7)』(分担執筆、創元社、2009)、『心理療法における「私」との出会い(京大心理臨床シリーズ10)』(分担執筆、創元社、2014)、『ユングのタイプ論』(共訳、創元社、2004)、『おとぎ話のなかの救済』(共訳、日本評論社、2004)がある。もっと見る
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