「ウォーリーをさがせ」の原書出版社、ウォーカーブックスが、満を持して刊行する新シリーズ。
親子で楽しめ、プレゼントブックとしても最適の一冊。

くいしんぼうで、いつもおなかがぺこぺこのミグルーは、ぽかぽかまちの人気者。いちばや広場、消防署から小学校まで、個性的でゆかいな仲間たちといっしょに探検します。
驚くほどたくさんのさがしものと、おはなしの両方が楽しめ、読むたびに新たな発見のあるさがしもの絵本です。



ウィリアム・ビー

ロンドン生まれ。絵本作家、アーティスト、デザイナー。ポール・スミス、イッセイ・ミヤケなどのデザインも手がける。ヴィクトリア&アルバート美術館や、三越美術館などでの展示も多数。著書に「だから?」「カエルごようじん」(セーラー出版)「さてさてきしゃは はしります」(フレーベル館)などがある。
好きなことは、ヴィンテージ・スポーツカーに乗ること、家の芝生のお手入れ。
サフォーク州のしずかな田舎町、ベリー・セント・エドモンド在住。

前田まゆみ

絵本作家。神戸市生まれ。神戸女学院大学英文科卒。
著書に「野の花えほん」「いきもの図鑑えほん」(あすなろ書房)「野の花ごはん」(白
泉社)など、翻訳絵本に「ポーリーおはなのたねをまく」(PHP研究所)がある。京都市在住。


翻訳者の前田まゆみさんから、作者ウィリアム・ビーさんへのインタビュー

icon ぽかぽかまちって、どんなまち?
icon 車、車、車!
icon ミグルーは、何を考えているの?
icon ウィリアム・ビーさんのことを知りたい!

ぽかぽかまちって、どんなまち?

ミグルーの企画は、どんなふうに始まったのか、教えてください。

かなり前のことになりますが・・・版元のウォーカーブックスから、「And the Train Goes(邦題:さてさて きしゃは はしります)」という絵本を出したんです。じつは、その本の絵の中には、たくさんのかたつむりがかくれているんですよ。そして、次の「And the Cars Go 」と「Beware of the Frog (邦題:かえるごようじん)」でも、同じことをやってみました。本の中に、たくさんのものをさがして、みつけて遊べる絵本、というアイデアは、そのあたりからはじまりました。

それと同時に、世界中の人が出てくるような絵本を作ってみたいなと思ったんです。いろいろな肌の色や、いろいろな名前、さまざまなちがう仕事をしている人たち。いろんな国々の男性や女性が、ありとあらゆる仕事をしているというのがとてもカッコイイんじゃないかと。そういう人たちが、一緒に暮らしている。イギリス、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本なんかにもありそうな、小さなお店がたくさん並んでいる、現代の町みたいなところで。そして、郵便局の車には、小さな王冠のマークがついてるのに気づいていただいたかもしれませんが、つまり、そこは、イギリスや日本みたいに、王様のいる国なんですよ。

ヴィジュアル面では、画家のピーター・ブリューゲル(父)やウィリアム・パウエル・フリスの絵、それからフランスの映画監督ジャック・タチの映画、スイスの警察官でもあり写真家でもあるアーノルド・オダーマットの写真などからインスピレーションを得ました。

ミグルーは、この本のために一番最初に作ったキャラクターだったのですか? それとも、ほかのキャラ、もしくはシーンや、別のところからスタートしたのでしょうか。

ミグルーは、最初に作ったキャラクターではありませんでした。じつは、もともとは人間を主人公にするつもりだったんです。道路のコーンを学校に届けるバイク便の人が、最初に描いたキャラクターだったと思います。はじめ、ミグルーは単に「町のみんなとなかよしの犬」というだけのつもりでした。でも、進めているうちに、ミグルーを前面に出して、本全体とほかのキャラたちを引っ張っていくのがいいんじゃないかという方向になりました。

本には多くのキャラクターと、ほんとうにたくさんの絵が描かれ、しかもクイズまでたくさんあります。この本を作るのに、どれくらいの時間がかかりましたか?

シリーズの第1作になる「こいぬのミグルー だいかつやく」は、かなり時間がかかりました。とりあえず3年はかかってますが、部分的には2006年頃からとりかかっていた所も含んでます。2巻目は、もっとスムーズになりました。たぶん、1年半くらい。というのも、すでにキャラたちのことをよくわかっているし、作業の流れも出来上がっていますから。

本の中のスーキーさんは日本人女性のように見えますが、そうでしょうか?

そうです。彼女はすてきなキャラで、これからも全部の本に出てきますよ。

車、車、車!

ミグルーの本の中には、ディテールまで細かい車の絵が多数あります。著者が車にたいそう愛情を持っていることが伝わってくるし、本の中で大きな魅力になっていると思います。ビーさんにとって、車というのは、どういう存在なのでしょうか。

絵本の中では、車は、それに乗っているキャラクターの延長として、キャラを表現しています。たとえば、郵便配達の女の人が近くにいることは、彼女の車があることから発見できたりします。正直、煙突掃除屋さんなんて、ほとんど姿は見えなくて、彼の古い自転車があることで、存在が確かめられるような状態なんです。そして、ほとんどの車に、いろんな文字や広告などが描かれています。絵本に出てくる車は、じつはみんな古い車です。というのは、僕は古い車の方が好きなんです。でも、絵本の読者のみなさんは、そこまではあまり気にされないかもしれませんね。

そして実際の暮らしの中でということでいえば、車は、建物と同じように社会の歴史を語ってくれる重要なもので、そして時には、とても創造的なものだと思っています。

個人的な質問をおゆるしください、私はBBCテレビの車番組「トップギア」が大好きなのですが、ビーさんはお好きですか?
それから、ディズニーピクサーの「カーズ」も大好きなのですが、こちらはいかがですか?

ええ、トップギアは見ますよ、でもね、もうちょっとマトモだったらいいのに・・・(訳注 トップギアは中古車をクレーンで落としたり、少々やりすぎ感のある番組)3人のパーソナリティーの中では、ジェームズ・メイが好きです。彼は、トップギアよりもっと良いほかの番組も作っていますよ。「カーズ」は見たことがないんです。

僕がとくに好きなのは、ジャック・タチの1972年の映画 「トラフィック」です。フランスのクラシックカーがすごくたくさん出てくるんです。ただ、この映画、話や演技やセリフなんかは、それほど良くはないのですけど。

ミグルーの中では、実は、マイケル・ケインという有名な俳優が出ている1966年の映画「Italian Job(邦題:ミニミニ大作戦)」に登場する車を全部描いてるんです。警察署の裏に置いてある、事故でぺちゃんこになった車がそうですよ。

作品作りの原点、またはルーツがあるとしたら何でしょうか。また、将来めざすものなどはありますか?

現実として重要なのは、生計を立てるってことになるわけですが、なにか創ることができて、そしてそれでお金をもらえるということは、しあわせなことだと思います。それから、ほかの人と一緒に仕事ができることをうれしく思っています。編集者のマリア・チューニーさん、アートディレクターのオードリー・ケリーナギーさんにはとくに本当にいつもお世話になっています。アイデアや提案を出してくれたり、ついつい怠けてしまいそうな僕を叱咤激励してくれて、ありがたいです。

そして、やることがいつも首尾一貫してるのが大事だと思っています。みんなが期待してる以上のものを読者に手渡したいと願っています。ミグルーは、そういうものがたくさんつまってるものになるはずです。

もしお答えいただけるなら、絵を描くのにお使いのコンピューターのスペックを教えていただけませんか?

これは一番難しい質問です! Macなんですが、機種は何ていうのだったか、もうよくわからなくなってます。7年も前のもので、OSは10.4.11(訳注 Tiger)です。絵を描くのに使っているソフトはなんと15年も前から使っている「フリーハンド」です。

 

ミグルーは、何を考えているの?

翻訳をしていて、ミグルーのセリフがとても礼儀正しいのが印象的でした。なんとなくイギリスっぽいようにも感じたんです。
これは、意図的ですか、それとも、ビーさんにとってはまったく無意識のことだったんでしょうか。

ええと・・・ミグルーってしゃべってましたっけ?(訳注 そういえば、しっぽをパタパタしてるだけでした!!)英語では「putting words in someone else's mouth(人が言ってもないことを勝手に代弁する)」という表現があって、僕がミグルーの本の中でやっていることも同じです。つまり、ミグルーがしっぽをパタパタしてるのを、「こういう意味です」って勝手に代弁しているだけなんです。つまり、犬や猫の飼い主は、彼らの動物が何を考えてるかわかってるつもりだけど、実際は、ちがうかもしれない。犬は、とにかく食べるのが好きだからミグルーは、たいていは食べ物のことばっかり考えてるんじゃないかな、とは思いますが。で、本の終わりでは、ミグルーが考えてそうなこととして2つの候補をあげました。ミグルーはたしかに礼儀正しいんですけど、はい、これは、意図的なギャグです。とにかく、本当のところ、ミグルーが何を考えてるのか、じつは、誰も断言はできないってことですね。

ビーさんの以前の作品、たとえば「かえるご用心」や「だから?」などには、いわゆるちょっと皮肉なユーモアが含まれていて、
それも、とても「イギリスらしい」かんじがしていました。今回のミグルーは、それとは一線を画して、素直な楽しいお話になっています。ご自身の中で、お話作りへの考え方が変わるような、生活上の変化があったのでしょうか?

つまり上でお答えした通りです。皮肉なユーモアは、ちょっぴり控えめになったというくらいの違いだと思います。

 

ウィリアム・ビーさんのことを知りたい!

お仕事をされている典型的な1日の過ごし方を教えてください。

すごく単調ですよ。マウスを持って、Macの前に座り、ときどき休憩したり、散歩に行ったり。今、まわりに野生のいきものがたくさんいる田舎に住んでいます。イタチ、フクロウ、いろんな大きさの鹿、キジ、ウサギ、野ウサギ、ネズミ、サギ、アカライチョウなんかがいます。一人で仕事をしているから、つねに自分を律しないといけないですね。

どんな子ども時代でしたか?

はい・・・ごく普通でした!! 当時、イギリスでやっていた子ども向けのテレビ番組が質が良くて、かなり影響を受けたと思います。The Clangers、The Magic Roundabout, ローレル&ハーディの白黒映画。そして絵もたくさん描きましたし、野原や森で探検なんかもよくしました。でも、ひょっとすると、僕はまだ「子ども時代」にいるのかも・・・

おうちで犬を飼ってらっしゃいますか?もし飼っておられたら名前や品種など伺えたら嬉しいです。もしほかの動物がいるとしたら、そちらの方も。

うちでは犬は飼っていないんです。でも、子供のときは犬も猫もうちにいました。犬の名前は「シャンディ」で、これはオレンジがかった茶色の毛色からつけた名前です。(訳注 シャンディは、ビールとレモネードなどを混ぜたオレンジ色の飲み物)今は、庭にときどき鹿がきますね。

ミグルーの第2巻のアイデアをすでにお持ちですか?それとも、もう着手されているのでしょうか?

次の本は、ミグルーやみんなが週末に何をしてるかというお話で、車のレースを見に行ったりする所もあります。3巻めは、ミグルーのホリデーにしたいなと思っています。

Request

それでは最後になりましたが、日本の読者にメッセージをいただくことはできますか?

日本のみなさんがこの本を気に入ってくださることを願っています。日本には車やグラフィック、それにエレクトロニクスのデザインの分野でもすばらしい歴史がありますね。スイス、イギリス、アメリカ、それに日本の国旗のデザインは世界でピカ一です。そして、日本でポピュラーになれるということは、すごく名誉なお墨付きをもらうことになるんです。

たくさんの質問とリクエストにお答えいただき、ありがとうございました!

余談ですが、私も、ビーさんがお好きだというセンダックやブルーナ、それに、特にリチャード・スカーリーを敬愛しております。

おお、そうですか。なんと僕は、ミグルーを描き始めたころは、リチャード・スカーリーの本を知らなかったんです。彼の描く車は最高ですね。

こいぬのミグルー だいかつやく

ウィリアム・ビー (著), 前田 まゆみ (翻訳)
定価1,944円(税込)
驚くほどたくさんのさがしものと、おはなしの両方が楽しめ、読むたびに新たな発見のあるさがしもの絵本です。

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