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トップアスリートに伝授した 勝利を呼び込む身体感覚の磨きかた
小山田 良治 著 / 小田 伸午 著
刊行年月日:2019/02/18
ISBN:978-4-422-75302-7
定価:1,760円(税込)
判型:四六判 188mm × 128mm
造本:並製
頁数:304頁
自分の体と向き合い、自分だけの感覚を磨く
楽器の演奏やそろばんと同じで、スポーツもまずはゆっくり正しく動くことができなければ、素早く無駄のない美しい動作には到達できない。つまり、細やかな身体感覚を一つひとつ磨いていくことで、身体を自在に動かすことができ、パフォーマンスは劇的に上がる。本書では、治療師である小山田が長年にわたり追究してきた動作の基本レシピ(手順)を紹介し、身体科学者の小田がトップアスリートの事例を交えつつ解説する。既存の常識にとらわれない、唯一無二の身体の手引書。
◎まえがき(一部抜粋)
本書は、スポーツマッサージの治療師であり、競輪選手をはじめプロ野球選手、サッカー選手などのトレーナーでもある小山田良治さんに、身体の動く仕組みと身体の使いかたについて、直筆していただくことから始まりました。とくに今回の見どころは、秘伝の〝動作のレシピ″です。身体が動く仕組みの解説と、その動作を身につけるレシピは初公開のものですが、すでに競輪選手などが実行して成果を上げています。まさに、待望のトレーニング手順書の公開です。
動作研究者の私が、治療師の小山田さんと出会って20年。教科書や関連図書には書かれていない小山田さん独自の身体観に触れて、心を動かさない日はありませんでした。多くの人に小山田さんの身体の世界の味わいを知っていただきたい。その思いで、小山田さんとやり取りを続けてきました。小山田さんのしたためた身体の世界を私が後から一流選手の動作を取り上げて解説する本書の形式は、この20年の二人のやりとりの形がそのまま現れたものです。
■動作のレシピとはなにか
本書では、小山田さんが追究してきた、身体の動きの法則を体得する手順を〝動作のレシピ″と称しました。小山田さんは、身体のあるパーツを他のパーツと絡めて、何のためにどのように動かすかという客観理論を考えてきました。それに重ね合わせて、選手がどういう動きを実践したら、基準となる体の動かしかたを自分の感覚で習得できるか。いつも選手目線、現場目線で考えていました。この、基準となる動かしかたがレシピです。
小山田さんからレシピを教わって、実践しつづけた選手は、次はこのレシピ、その次はあのレシピと、まるで山を登るのにいろいろなルートがあるように、そこかしこに感覚ルートがあるんだと言うことに驚愕の念を抱いたことと思います。でも、選手と小山田さんは、レシピのことを“地味トレ”と言いました。シンプルな動作を数知れず何度も繰り返すことで、本来自分のなかに備わっている性質(自味)が出たという意味でもあるのでしょう。表に見える見かけの動きを目指すのではなく、自分の感覚で味をつけて自分の動きを作る。ここに〝ガイドライン″や〝トレーニング″ではなく〝レシピ″という言葉を使った真意があります。【中略】
どんなスポーツ種目であれ、読者の皆さんには、本書のレシピを通じて、日替わりの自分で、自分の味を作っていただきたいと願っています。新しい自分が待っています。(小田伸午)
まえがき
第1部 身体感覚を磨く、動作のレシピ(小山田)
第1章 最初に知っておきたい身体のこと
1 知っておきたい解剖学――起始と停止
2 ハムストリング
3 2つの球体
4 身体に求める力とは
第2章 動作のレシピ(基本編)――回旋運動
1 股関節回旋運動のレシピ
2 肩関節回旋運動のレシピ
第3章 動作のレシピ(応用編)
1 膝抜きのレシピ
2 ホッピングのレシピ
3 遊脚トレーニングのレシピ
4 肩甲骨中間位のレシピ
第2部 動作のレシピの解説(小田)
第4章 知識にとらわれてはいけない(第1章の解説)
1 逆転の発想
2 筋肉を細かくわけて感じ取る
観ることはトレーニング
トップスプリンターの、スタート1歩目の秘密
ハムストリングは膝を曲げる? それとも伸ばす?
3 二軸動作のいわれ
イチロー選手の盗塁も二軸
一流選手の隠し味――水平感覚、回旋運動
4 わからないことに気がつく喜び
アメリカンテイストとジャマイカンテイスト
第5章 地味な動きを極められるか(第2章の解説)
1 感じやすい運動と感じにくい運動
気がつかないことに気がつけるか?
反対方向から考えると、問題は解決する
遠位と近位のバランス調整法
足趾が変わると、脚全体の動きが変わる
スクワットでハムストリングが使えるようになる
末端の使いかたが、スクラムの強さを決める
地味トレの洗練の向こうには
2 肩甲骨を安定位置に保つ
イチロー選手のルーティンワーク
スポーツとは、切り返しである
手で打つのではなく、身体全体で打つ
肩肘を張らない大谷翔平選手
スクラムでの強力バインドの作りかた
バットコントロールが劇的に安定する方法
拇指の対立
拇指対立ウォッチング
前腕の半回内位(中間位)
上腕二頭筋の隠密作用
上腕二頭筋短頭は上腕を外旋する
上腕二頭筋短頭の外旋ウォッチング
動き過ぎてはいけない
スランプの本質
鎖骨の動きを止めてしまう筋肉
世界最速! 体幹の左右の動きに注目
第6章 主観と客観は、ずれていてひとつ(第3章の解説)
1 膝を抜く
右方向へ動き出してみる
キレのいい球と、低くなるスクラム
根が生えたように重たい
忍びの術、ネイマール
忍者ボディーが繰り出す高速タックル
力感の錯覚
2 ホッピングで遊脚感覚をつかめ!
重心移動は足首から
外反していないかチェック
トップスプリンターの骨盤チェック
3 ボルト選手の遊脚感覚
意識化された人間と、動物の本能
人間も動物である
4 身体を正しい姿勢に初期化する
首を傾げる
水平感覚がもたらす残心の身構え
頑張りきらないで強くなる――競歩日本代表の革命
第3部 上達への近道は、ゆっくり長く、正しく動く――LSD
小山田流LSDができるまで
座談会(浅井康太、山内卓也、小山田良治、小田伸午)
殿(あとがき)
著者プロフィール
※著者紹介は書籍刊行時のものです。
[著]小山田 良治(オヤマダ リョウジ)
小山田良治(おやまだ・りょうじ)
一九六五年生まれ。福岡県出身。スポーツマッサージ五体治療院代表。祖父小山田秀雄(おやまだ・ひでお)の下で治療技術を学ぶ。一九八七年スポーツマッサージ五体治療院開業。競輪選手を中心にプロ野球選手、Jリーガーなど多くのスポーツ選手の治療とともに、怪我をしないための動作などの指導を合わせて行う。一九九七年に小田伸午と出会い、運動動作の意見交換がはじまる。股関節の回旋運動に着目しストレッチに取り入れる。スポーツ用品、健康グッズなどの商品開発をアドバイスなど行う。二〇一一年『左重心で運動能力は劇的に上がる!』(宝島新書)を出版。左重心の動作が注目を集める。競輪選手浅井康太とProject5を立ち上げ、赤星憲広氏の「Ring of Red」に参加。浅井康太をモデルにした「KEEP LEFT」のロゴ入りTシャツの販売を行う。常人歩人 図庵(https://www.ttrinity.jp/shop/jwalker/)で購入できる。
[著]小田 伸午(オダ シンゴ)
小田伸午(おだ・しんご)
一九五四年生まれ。東京大学教育学部卒、同大学院博士課程単位修得退学。京都大学高等教育研究開発推進センター教授を経て、現在、関西大学人間健康学部教授。人間・環境学博士。元日本代表ラグビーチーム・トレーニングコーチ。股関節の外旋や顔の角度など、トップアスリートの身体部位や感覚に着目した研究を追究。北京五輪のソフトボール日本代表チームのトレーニングに関わったほか、北京五輪のケイリン銅メダリスト永井清史選手や、サッカー日本代表の前田遼一選手らにも影響を与える。主な著書に、『アスリートの科学』角川ソフィア文庫(角川学芸出版)、『ヒトの動き百話』(市村出版)、『スポーツ選手なら知っておきたい「からだ」のこと』『サッカー選手なら知っておきたい「からだ」のこと』『野球選手なら知っておきたい「からだ」のこと(以上、大修館書店)などがある。
関連書籍
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