26.齢(よわい)50も近くなると…

齢50も近くなると、
目覚めた時に体の節々が痛い
頭痛が低気圧のせいだと分かる
肌がカサカサして痒い
昨日の疲れが抜けない
同じように食べても太る
雨の降り出しに気づくのが早い
年寄りの言っていたことが分かる
単語が出てこなくて話が閊(つか)える

若者を許せるようになる
年寄りも許せるようになる
傲慢も高飛車も去勢も居丈高も
開き直りも甘えも拗ねも妬みも
みんなまとめて許せるようになる
ただ
自分の老いだけが許せず口惜しい

このパターンで何度か書いたが、なかなか書き切れなくて臍(ほぞ)を噛んだ。で、結局「これでいいっか……」と、一番いい加減に書いたものが最後に残った。この辺りが、齢(よわい)50に近くなった成果かも知れない。いや、本当はこれが掲載される頃には、軽く50を越えているのだけど……。

身体の数々の不調は、未病(※注1)かも知れないし、すでに何かの病気の兆候かも知れない。とにかく、きちんと気をつけていないとすぐ不調になる。太るし肌は荒れるし睡眠不足になるし身体のいたる所が痛む。それがまた不摂生な自分のせいだけじゃなく、天候や気候や風土といった自然環境のせいなのが口惜しい。歳をとったら鈍感になるなんて、大嘘だ。少なくとも環境に対しては敏感になる。最近は心霊スポットだって当たり前に気づくようになった……気がする。

それと比べると人間の気持ちに関しては、鈍感になったというよりは寛容になった。どうでも良くなった、と言えるのかも知れない。若い頃は、あれが許せない、これが許せないと憤っていたけれど、結局許せないことをしながら生き延びてきた我が身を振り返ったら、他人のことは全部まとめて許せてしまうようになった。その意味じゃ、歳をとってもまだ怒っている人は、よっぽど清廉潔白な人か、自分のことを棚に上げる人なんだろう。

そのうち自分の老いも許せるようになったら、きっとハタ迷惑で幸せな老人になるんだろうな……。

注1
「自覚症状はあるが検査では異常が出ない状態」だと思っていたが、「自覚症状はないが検査では異常がある状態」も指すらしい。いずれにしても発病前の状態として、中国の医学書に記載されている。