創元社News＊2022年3月篇号［新刊のお知らせ（『〈稿本・大名家本〉伊能図研究図録』)／編集者の裏×裏／ほか］

創元社NEWS＊2022年3月号

言葉を失うような、という言葉しか出てこない事態が起こり、そして現在も起きているさなかである昨今、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
大学の学部では国際政治学を専攻していた関係で、ニュースに出てくる専門家の方々のお話のおおよそは掴めるのですが、やはり自分の知識がどうしようもなく古くなっていることに気づかされます。いまさらあらためて歴史を勉強することに意味はあるのか、という問いかけに自信を持って返事をすることには迷いもありますが、問題を解決するためではなく、間違った情報におどらされることで自分自身が問題そのものにならないために、やはり学ぶことはやめてはならないと感じています。
といいつつ、オロオロすることしかできない、そうした時間に凹んだりもする毎日です。そうした気持ちをかかえつつ、今月のメルマガをお送りします。（A）

◇編集者の裏×裏・・・イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。
◇新刊＆近刊情報・・・絶賛発売中＆これから発売予定の新刊ラインナップ。
◇営業部だより・・・営業部員がお届けする、本が読まれる現場からの報告。

╋ 編集者の裏×裏（ウラジジョウ）
イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。

〈稿本・大名家本〉伊能図研究図録【3/7発売】
平井松午、島津美子編　定価16,500円（税込）

すでに正本（江戸幕府上呈本）が失われた伊能図には多くの類似複製図や関連図が存在していた。本書は主要16機関から150点を紹介する美麗な図録かつ画期的研究である。

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担当編集者より

この図録は今から1年少しまえに弊社より刊行した『国絵図読解事典』の編者である平井先生との縁で生まれました。かなりの突貫作業で編集した「国絵図」の強引な仕事ぶりを評価して頂けたのか、再度、縦貫工事を必要とする企画としてこの本の出版をご相談頂いたのが昨年の春でした。

企画が採択された時点で原稿は全然そろっておらず、毎度毎度のことながら、当初定めた締切よりも原稿作成に時間がかかり、ほぼ揃ったのがなんと8月末。下版が1月末でしたので、実質の編集期間は5ヶ月弱しかありませんでした。その結果、正月休みを含む多くの休日を返上してこの仕事に追いまくられることになり、今はまだ虚脱状態から脱皮し切れていません。

でも、商業出版物ってそうやって作っているから出来ているようなところもあります。おそらく著者や編者の純粋な満足を求めるときりがなく、明確な終わりが設定されていないと、逆にいつまでもゲラと付き合わされてしまう、肉体的によりも精神的に辛いケースもまま見受けられます。そうならないだけでも有難い、と自分に言い聞かせ続け、もう30年余りが経ちました。
(yy)

╋ 新刊＆近刊情報
絶賛発売中＆これから発売予定の新刊ラインナップ。

イラスト授業シリーズ　ひと目でわかる　マネジメントのしくみとはたらき図鑑【2/2発売】
野田稔監修／千葉喜久枝訳　定価3,300円（税込）

シリーズ戦争学入門　国際平和協力【2/16発売】
山下光著　定価2,640円（税込）

ぼくらの心に灯ともるとき【3/7発売】
青木省三著　定価1,540円（税込）

仏教的心理学と西洋的心理学　心理学の自己明確化に向けて【3/14発売】
ヴォルフガング・ギーゲリッヒ著／猪股剛、宮澤淳滋訳　定価3,960円（税込）

世界を魅了する美しい宝石図鑑【2/8発売】
ジュディス・クロエ著／石橋隆監修　定価3,080円（税込）

車両の見分け方がわかる！関東の鉄道車両図鑑②　大手私鉄／東京の中小私鉄【2/16発売】
来住憲司著　定価2,200円（税込）

どこへ行こうか、心理療法　神田橋條治対談集【3/7発売】
神田橋條治、成瀬悟策、村山正治、増井武士、かしまえりこ、藤原勝紀著　定価2,750円（税込）

木材セラピー　木のやさしさを科学する【3/14発売】
宮崎良文、池井晴美編著　定価1,980円（税込）

もしも紫式部が大企業のOLだったなら　大鏡篇【2/16発売】
井上ミノル著　定価1,320円（税込）

世界を変えた150の哲学の本【2/25発売】
アダム・フェルナー、クリス・メインズ著／夏井幸子訳　定価3,080円（税込）

フォーカシング指向心理療法の基礎　カウンセリングの場におけるフェルトセンスの活用【3/7発売】
内田利広著　定価2,860円（税込）

世界を変えた146人の子ども　才能にめざめた若者たちの物語【3/25発売】
ルーラ・ブリッジポート著／北川玲訳　定価2,640円（税込）

╋ 営業部だより
営業部員がお届けする、本が読まれる現場からの報告。

小学生の時、私のクラスには「学級文庫」がありました。その中で奪い合いが起きるほど人気だったのが、当時流行っていたオカルトの本です。一方、あまり読まれていない…ように見えたのが「伝記」です。小学生にとっては、地味で退屈な内容だったのかもしれません。
そんな昔の伝記のイメージを持ったまま大人になった私が、「これが学級文庫にあったら良かったのに！」と思った本が、今月の新刊『世界を変えた146人の子ども』です。夢を実現した子どもたちのサクセスストーリーが紹介され、キラキラと希望に溢れた内容になっています。
大昔の偉人伝よりも、リアリティを感じる同世代の話が書かれているこの本を、子ども時代に読むことができたなら、私の人生はまた違ったものになっていたかもしれません。やるせない気持ちになりましたが、この一文で心が洗われるような思いがしました。

「日々の暮らしの中で、周囲の人に親切にし、手伝い、礼儀正しく接していけば、それだけでもいい人生だなと思うことができるのです。」

本書は、子どもたちが主役ではありますが、頑張っている大人にも響く1冊です。いろんな世代の方に手にとって読んで頂ければ嬉しいです。
（A）

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