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創元社NEWS*2021年6月号

外を出歩くのもまだまだむずかしい昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。
​​​​​​人と直接会うのはむずかしいけれど、それでも本の話が聞きたい。そんな方々のために、創元社ではオンラインでのイベントを開催する運びとなりました。第一弾は新刊『フィールド言語学者、巣ごもる。』の刊行記念トークイベントです。国立民俗博物館に勤務する著者による、日常のなかにある言語学の話。普段なにげなく使用している言葉への解像度が、ぐんと高まるトークになりそうです。ぜひお気軽にご参加下さい。(A)

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【6/27】『フィールド言語学者、巣ごもる。』刊行記念オンライントークイベント

編集者の裏×裏・・・イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。
新刊&近刊情報・・・絶賛発売中&これから発売予定の新刊ラインナップ。
「じんぶん堂」掲載情報・・・「じんぶん堂」に掲載された弊社記事をお知らせ。
 編集者の裏×裏(ウラジジョウ)
イチオシの新刊を担当編集者の声とともにご紹介。
 

フィールド言語学者、巣ごもる。【6/18発売】
吉岡乾著 定価1,980円(税込)

著者は、大阪の国立民族学博物館に勤務するフィールド言語学者。パキスタンとインドの山奥で言語を調査しているが、2020年は新型コロナウイルス感染症蔓延でフィールドへ出られず、長らく「巣ごもり」をすることとなった。本書は、著者がそうした生活の中で、日常に溢れる様々な現象を言語学者目線で眺めて考えたことを綴ったエッセイ。言語学の知識が親切かつユーモアたっぷりに語られる、最高の知的エンターテイメント。

>>詳細はこちら

担当編集者より
2019年に刊行した『現地嫌いなフィールド言語学者、かく語りき。』は、有難いことに刊行後たくさんの反響をいただきました。このたび吉岡乾先生の新しい本を刊行いたします。前作が「フィールド言語学」の「フィールド」部分に焦点を当てたものだとすれば、今回は「言語学」部分にスポットライトを当てたもの。言語学者の日常をとおして、楽しみながら言語学という学問の一端に触れられる一冊となっています。

さて、ここからは本書の裏テーマについてお話ししたいと思います。私は、この本の裏テーマは「多様性を考える」だと思っています。言語がその人のアイデンティティと分かちがたく結びついている以上、言語も人と同じように多様性の問題を避けられません。この本では、著者の言語観をとおした多様性への眼差しがそこかしこに見られます。
たとえば《日常をフィールド言語学する》の節では、「ら抜き言葉」に代表されるような新しい言語表現を無批判に「正しくない」とすることにNOを突きつけます。《翻訳できない世界のことば》の節では、「世界をいかに把握するかは、言語ごとに異なった色眼鏡を持っている」ため、同じ単語でも自分と相手とが抱くイメージは異なっているのだと、他者への想像力を失いません。《日本語はこんなにも特殊だった》の節では、言語間に優劣はないのだということを客観的なデータから明らかにし、小さな言語も大きな言語も分け隔てなく扱おうとします。
このように、著者は言語を「変化していくものである」という前提に基づいて考え、他者への想像力なしに保護しようとしたり正そうとしたりすることを嫌います。何か固定された恣意的な基準を設けることや、物事に変化の余地を見出さず断定的に判断すること、独りよがりの正義感で行動することなどを、慎重に避けている。その姿勢は、著者の研究者としての矜持であるようにも思われます。個人のレベルでの変化に対しても、社会的なレベルでの変化に対しても、大局的な視点でしなやかに受け止めようとする。その源泉にあるのは、著者の“優しさ”ではないかと、私には感じられました。

本書の最終節≪なくなりそうな日本のことば≫は、こんな言葉で締めくくられています。「隣人の死に鈍感になってはいないか」「エキゾチックな遠い土地、遠い文化に憧れるのも素敵だけれども、同じ国の中でも、様々な人たちが、様々な生活の中で、様々に異なる発想を抱えた言葉を話しているという事実もまた、思いを馳せるのに相応しい価値を持っている。そう僕は思う」。長年、日本では馴染みの薄い異国の地で少数言語を調査してきた著者だからこそ、説得力のある一文だと思います。
誰もが指一本で全世界へ向けて言葉を発信できるようになった今、本書が多くの読者に届き、言語と世界の多様さについて思い巡らせるための一助になればと願っています。
(AN)
 新刊&近刊情報
絶賛発売中&これから発売予定の新刊ラインナップ。

社会を変えた50人の女性アーティストたち【5/10発売】
レイチェル・イグノトフスキー著/野中モモ訳 定価1,980円(税込)

AI時代を生き抜くプログラミング的思考が身につくシリーズ【3巻セット】【5/19発売】
土屋 誠司 著 定価8,250円(税込)
 

AI時代を生き抜くプログラミング的思考が身につくシリーズ6
情報セキュリティのしくみ【4/15発売】

土屋 誠司 著 定価2,750円(税込)

ふたご研究シリーズ 第3巻 ​​​​家庭環境と行動発達【5/19発売】
安藤寿康監修/藤澤啓子、野嵜茉莉編 定価3,740円(税込)

日本だんじり文化論 摂河泉・瀬戸内の祭で育まれた神賑の民俗誌【6/17発売】
森田玲著 定価2,750円(税込)

ユングの神経症概念【6/18発売】
ヴォルフガング・ギーゲリッヒ著/河合俊雄監訳 定価4,400円(税込)

恐竜研究の最前線 謎はいかにして解き明かされたのか【6/25発売】
マイケル・J・ベントン著/保田克博、千葉謙太郎、田中康平監訳 定価4,620円(税込)

幾何学の偉大なものがたり【5/10発売】
ピエルジョルジョ・オーディフレッディ著/河合成雄訳 定価2,750円(税込)
 

AI時代を生き抜くプログラミング的思考が身につくシリーズ4
コンピュータのしくみ【5/19発売】

土屋 誠司 著 定価2,750円(税込)

ブッダが見つけた四つの真実【5/20発売】ゾンサル・ジャムヤン・ケンツェ著/河上沙羅訳/望月恵太訳 定価1,760円(税込)

校正のこころ 増補改訂第二版 積極的受け身のすすめ​​【5/20発売】
大西寿男著 定価2,420円(税込)
 

大阪の問題集ベスト選 +要点集 第2版 大阪検定公式精選400問と出題傾向・対策【6/17発売】
橋爪紳也監修/創元社編集部編/大阪商工会議所協力 定価1,650円(税込)

認知行動療法で「なりたい自分」になる スッキリマインドのためのセルフケアワーク【6/18​​​発売】
高井祐子著 定価1,650円(税込)

将棋パワーアップシリーズ 5手詰将棋VOL.2【5/19発売】
高橋道雄著 定価1,100円(税込)
 

AI時代を生き抜くプログラミング的思考が身につくシリーズ5
ネットワーク・通信のしくみ【5/19発売】

土屋 誠司 著 定価2,750円(税込)

現代美術の場としてのポーランド カントルからの継承と変容【5/20発売】
加須屋明子著 定価5,060円(税込)

アルケミスト双書 影の不思議 光がつくる美の世界【6/9発売】
ウィリアム・ヴォーン著/駒田曜訳 定価1,320円(税込)

メンタルヘルス・ファーストエイド こころの応急処置マニュアルとその活用【6/18発売】
ベティー・キッチナー他著/大塚耕太郎他編 定価3,960円(税込)

叢書パルマコン04 〈趣味〉としての戦争 戦記雑誌『丸』の文化史【6/18発売】
佐藤彰宣著 定価3,080円(税込)
 「じんぶん堂」掲載情報

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