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ネガティヴ・イメージの心理臨床

心の現代的問題へのゼロベース・アプローチ

松下 姫歌 著

刊行年月日:2021/10/14
ISBN:978-4-422-11769-0
定価:3,960円(税込)
判型:A5判 210mm × 148mm
造本:並製
頁数:324頁

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現代社会を呪縛するモノの見方を解除する

近年、心理臨床の現場で、主体性や内面性に乏しく、自我に脆弱性を抱えたクライエントが増えていると言われる。本書では、こうした見方の背後に潜む社会的価値観や専門的理解の問題点を理論と事例の両面から詳細に検討し、主体性や内面性の成立を前提としない、“ゼロベース”でクライエントに向き合うアプローチを提言する。現代社会を呪縛するモノの見方を解除し、“想定外の未知”へと開かれていくための画期的な論考。

【目次】


はじめに


第I部 ネガティヴ・イメージへの視座――理論を通じての検討

第1章 心理臨床における現代的問題――内面性アプローチは通用しないのか?
 第1節 内面性アプローチをめぐる問題:主体性・内面性と“関係の接触障害”
  1.問題(1):主体性と内面性
  2.問題(2):発達障害的であること
  3.問題(3):関係の接触障害
 第2節 主体性と内面性の成立にまつわる問題
  1.統合失調症と自閉症
  2.自閉スペクトラム症:ASDの概念とその問題
  3.自閉症概念と具体的特性
  4.自閉症と統合失調症の鑑別の問題
  5.生きる存在としての問題理解と支援:主体性と自己・自我の成立にまつわる問題
 第3節 専門的理解に潜む社会的価値観の問題
 第4節 現代社会における主体性の疎外:“リニア主義”と“ノンリニア主義”
  1.現代社会の価値観と常識にまつわる問題
  2.現代的問題の歴史的背景
  3.現代におけるリニア主義と主体性の疎外
 第5節 ノンリニアな“未知”性とネガティヴ・イメージ
 第6節 現代的問題とネガティヴ・イメージへのアプローチ:ユング理論の再検討と「ゼロベース・アプローチ」

第2章 心理療法におけるエビデンスとは何か――リニア性を超えるエビデンスを求めて
 第1節 エビデンスをめぐる誤解からの解放に向けて
  1.心理療法と科学的態度
  2.evidence-basedをめぐる問題と心理療法
 第2節 EBМにおけるエビデンス
  1.EBМとは何か:定義の再検討
  2.EBМの理念とその出発点
  3.EBМと臨床疫学
  4.EBMの理念とエビデンス概念の錯綜
 第3節 EBPPにおける問題
  1.心理療法の目的と性質を踏まえての質的担保とは
  2.EBPPの定義
  3.EBPPをめぐる問題
 第4節 clinicalであることとanalyticalであること
  1.clinicalとanalytical
  2.ウィトマーのclinical psychologyの概念と理念
  3.科学的とは:ウィトマーのclinical psychologyとanalytical psychology
 第5節 心理臨床実践におけるエビデンス
  1.心理臨床実践におけるevidence-basedとエビデンス
  2.evidence-basedにおけるエビデンス概念の再整理と再検討
  3.内的エビデンスと外的エビデンス
 第6節 心理臨床領域における研究と実践

第3章 心理学と心理療法に通底する精神
 第1節 心の問題と心理療法
 第2節 臨床心理学と心理療法の三大潮流
  1.力動的アプローチ
  2.行動主義的/認知的アプローチ
  3.人間性アプローチ
 第3節 三大潮流の相違点
  1.心の問題の位置づけ
  2.心理療法の目標
 第4節 三大潮流の共通点と、現代心理学と心理療法およびclinical psychologyが生まれた時代
  1.三大潮流の共通点
  2.現代心理学と心理療法およびclinical psychologyが生まれた時代
 第5節 力動的アプローチと行動主義的/認知的アプローチの誕生に至る精神性の歴史
 第6節 力動的アプローチと行動主義的/認知的アプローチに通底する精神とclinical psychologyの概念に込められた精神

第4章 ユングの心の概念と心的危機論の再検討――ネガティヴ・イメージの事例(1):中年期危機
 第1節 ユングの分析心理学における心の概念
  1.ユングの心の概念
  2.自我が成立する以前の心の次元
 第2節 ユングの分析心理学における心的危機論A
  1.ユングの心的危機論Aと個性化
  2.ネガティヴ・イメージの事例(1):中年期にうつに陥ったA男
 第3節 ユングの心的危機論Aの再検討
  1.自我の確立と「反ネガティヴ信仰」
  2.反ネガティヴ信仰とリニア信仰の呪縛からの解放
  3.ユングの心の概念と心的危機論Aの再検討
  4.心的危機論Aの展開
  5.ユングの心の概念の理論と木村敏の存在構造論:心的危機論Bに向けて

第5章 心の現代的問題とゼロベース・アプローチ――ネガティヴ・イメージの事例(2):アスペルガー症
 第1節 自我の未成立の問題:自他の区別(自他未分性)をめぐって
  1.統合失調症における自我の未成立の問題
  2.自閉症における自我の未成立の問題
  3.ネガティヴ・イメージの事例(2):アスペルガー症を有するB男
  4.自閉症の内面性の問題
  5.根源的自発性とユングにおける無意識と自己
 第2節 心的危機論Bの検討:ゼロベース・アプローチ
  1.「ゼロベース」とはどういう意味か
  2.心的危機論Bの表現型と対処のあり方


第II部 ネガティヴ・イメージへのアプローチ――事例を通じての検討

第6章 ネガティヴ・イメージへのアプローチ
 第1節 ネガティヴ・イメージを捉える視点
  1.イメージと心的変容
  2.ネガティヴ・イメージ
  3.イメージの欠如・欠乏とつかみにくさの問題
 第2節 「表現されない/空白」としての非言語的表現
  1.箱庭療法
  2.バウムテスト
  3.風景構成法

第7章 ネガティヴ・イメージの事例(3):“ある”のに見えない
 第1節 自らの欠損感を繰り返し語るC子の事例
  1.事例の概要
  2.C子の夢
 第2節 夢イメージへのアプローチ
  1.自我による夢解釈の落とし穴
  2.夢のイメージの中に入る
  3.自我による無意識のイメージの再体験
  4.夢の作業を経ての心的取り組み
  5.うつの意味
  6.新たな生命を得る親子イメージ

第8章 ネガティヴ・イメージの事例(4):“わからない”ように見える
 第1節 認知症とせん妄
  1.超高齢社会の日本
  2.認知症とその症状
  3.認知症とせん妄
 第2節 認知症を基礎に術後せん妄を発症したD男の事例
  1.事例の概要
  2.面接のプロセス
 第3節 “行動化”に見える言動の背後にあるイメージ
  1.語られたイメージが“実際に起きている”ものと思って追体験する
  2.語られたイメージを心が体験したことの“近似的イメージ”として見る
  3.本人がいま体験していることの2つの側面を捉える
 第4節 妄想的イメージへの対応

第9章 ネガティヴ・イメージの事例(5):“通じない”ように見える
 第1節 自閉症をもつE男の事例
  1.事例の概要
  2.プレイセラピーのプロセス
 第2節 事例の考察
  1.“三つ組の障害”の表と裏
  2.自閉症の問題を取り巻く“関係の接触障害”:“対人関係の回避”に見えることと“一緒にいよう”とすること
  3.融合する心の動きの中にある個別性への触手性
  4.自他の分離と結合
  5.容器と“家”
  6.言葉をもつこと
  7.潜在性への視点とボトムアップ的アプローチ

第10章 ネガティヴ・イメージの事例(6):“死”のイメージ
 第1節 「自らの死」にまつわるイメージ
  1.心理療法における危機
  2.自殺の問題と心理療法の枠
  3.心的次元における生き死にと物理的次元における生き死に
  4.心の問いとしての自殺
 第2節 「死ねばいいのに」という声が聞こえるF子の事例
  1.事例の概要
  2.心理療法のプロセス
  3.インテーク後のプロセス
 第3節 事例を通しての心的危機論の再検討
  1.「死ねばいいのに」という声
  2.心的危機論Bの再検討
 第4節 「自らの死」というイメージ
  1.象徴的理解≠記号的理解
  2.自殺イメージの内包するもの
  3.自殺の問題を受けとめる器をつくる

第11章 ネガティヴ・イメージの事例(7):“妄想”のイメージ
 第1節 統合失調症をもつG子の事例
  1.事例の概要
  2.心理療法のプロセス
  3.インテーク後のプロセス
 第2節 事例の考察
  1.G子の妄想と基本的な心的テーマ
  2.“言葉で話す”ことと“つながる”こと:関係の接触障害
  3.「対話すること」の本質
  4.気と調子
  5.“妄想”の奥にあるもの
  6.「死」と「殺し」のイメージと「お風呂」のイメージ
  7.心的危機論Bの視点から


引用・参考文献
人名索引
事項索引
おわりに

※著者紹介は書籍刊行時のものです。

[著]松下 姫歌(マツシタ ヒメカ)
松下姫歌(まつした・ひめか)
1968年兵庫県生まれ。京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了。博士(教育学)、臨床心理士、公認心理師。現在、京都大学大学院教育学研究科准教授。専攻は臨床心理学。主な著書に『心的現実感と離人感』(創元社、単著)、『心理療法における「私」との出会い』(創元社、共編著)、『バウムの心理臨床』(創元社、共著)、『「発達障害」と心理臨床』(創元社、共著)などがある。

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