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未来の戦死に向き合うためのノート

井上 義和 著

刊行年月日:2019/02/20
ISBN:978-4-422-30072-6
判型:四六判 188mm × 128mm
造本:並製
頁数:288頁

同胞の戦死を受け入れるための条件を問う

「未来の戦死に向き合うことは、語弊を恐れずに言えば、『ちょうどいい、節度ある、穏健な』戦死観を模索することでもあります。」――本書「はじめに」より。
敗戦による反戦平和の願いから、過去の「戦死」については、あらゆる角度やテーマから、絶え間なく議論し、学習することを自明としてきた戦後の日本。その一方で、「未来の戦死はありえない」という建て前のもと、市民社会にとって異質な存在、すなわち非合理な犠牲を要求せざるを得ない自衛隊員を直視せず、経済的な繁栄を享受してきたこともまた、まごうかたなき現実です。
しかし、近年のなし崩し的な制度改変によって、「戦死にどう向き合うか」が、もはや先延ばしにはできない課題として、急速に浮上してきています。反戦平和のために受け入れて議論すべきは、「過去と未来の戦死」ではないのか、と本書は問いかけるのです。 
映画《ゴジラ》のさまよえる英霊論や、知覧特攻平和記念会館のフィールドワークを踏まえた特攻死の自己啓発受容の分析、奈良女子大学や京都大学での現代学生との対話など、教育社会学者である著者独自の現代日本社会分析を織り込みながら、未来の戦死に「向き合う」ことから、「条件付きで受け入れる」ことを志向し、真に有効な戦争抑止の規範や倫理を構築していく、読み始めるとやめられないノートです。

【主な目次】
はじめに――戦死者を宙吊りにしないために
■第1章 「戦死にどう向き合うか?」――古くて新しい問い
1節 禁断の問い
2節 ゴジラはまたやってくる
3節 問いの更新
4節 過去の戦死と未来の戦死
■第2章 同胞の戦死を受け入れるための条件
1節 「戦死のリスク」論議で語られなかったこと
2節 「未来の戦死」を語る言葉の不在
3節 天秤にかけられた二つの戦死
4節 「祖国のために命を捧げる」という原点
■第3章 特攻の歴史と自己啓発(1)――現象編
1節 特攻の歴史はどのように受容されているか
2節 特攻の自己啓発的な受容
3節 研修場所に選ばれる知覧
 ――資料 「特攻による活入れ」事例一覧
■4章 特攻の歴史と自己啓発(2)――分析編
1節 なぜ活入れ言説が増加しているのか
2節 活入れ効果のメカニズム
3節 二〇〇〇年代に顕在化してきたこと
4節 記憶の継承から遺志の継承へ
■第5章 ポスト戦後七〇年の対立軸
1節 「特攻の自己啓発的な受容」仮説をめぐる反応
2節 「下からの感謝」の発露はとめられない
3節 私の立場――「下からの感謝」を悪用から護る
4節 研究者との対話①――蘭信三氏の批判論文
5節 研究者との対話②――日本オーラル・ヒストリー学会シンポジウム
6節 学生との対話――奈良女子大学での集中講義
おわりに――市ヶ谷と九段から遠く離れて
 ――付録 京都大学集中講義・補講――最終レポートを読んで

はじめに――戦死者を宙吊りにしないために
第1章 「戦死にどう向き合うか?」――古くて新しい問い
 1節 禁断の問い
 2節 ゴジラはまたやってくる
 3節 問いの更新
 4節 過去の戦死と未来の戦死
第2章 同胞の戦死を受け入れるための条件
 1節 「戦死のリスク」論議で語られなかったこと
 2節 「未来の戦死」を語る言葉の不在
 3節 天秤にかけられた二つの戦死
 4節 「祖国のために命を捧げる」という原点
第3章 特攻の歴史と自己啓発(1)――現象編
 1節 特攻の歴史はどのように受容されているか
 2節 特攻の自己啓発的な受容
 3節 研修場所に選ばれる知覧
 ――資料 「特攻による活入れ」事例一覧
第4章 特攻の歴史と自己啓発(2)――分析編
 1節 なぜ活入れ言説が増加しているのか
 2節 活入れ効果のメカニズム
 3節 二〇〇〇年代に顕在化してきたこと
 4節 記憶の継承から遺志の継承へ
第5章 ポスト戦後七〇年の対立軸
 1節 「特攻の自己啓発的な受容」仮説をめぐる反応
 2節 「下からの感謝」の発露はとめられない
 3節 私の立場――「下からの感謝」を悪用から護る
 4節 研究者との対話①――蘭信三氏の批判論文
 5節 研究者との対話②――日本オーラル・ヒストリー学会シンポジウム
 6節 学生との対話――奈良女子大学での集中講義
おわりに――市ヶ谷と九段から遠く離れて
 ――付録 京都大学集中講義・補講――最終レポートを読んで

※著者紹介は書籍刊行時のものです。

[著]井上 義和(イノウエ ヨシカズ)
1973年長野県松本市生まれ。松本深志高校から、ロボット工学の研究者を目指し京都大学工学部に進学するも、吉田寮で寝起きするうち人文社会系の学問に目覚め、「遅れてきた」思想青年として教育学部に転学部。竹内洋氏の薫陶をうけつつ大学院まで教育社会学を専攻。博士後期課程を1年で退学して京都大学助手。その後、関西国際大学を経て、現在、帝京大学准教授。処女作『日本主義と東京大学』(柏書房)では、昭和戦前期の一高・東京帝大から生まれ全国に展開、日本主義的な立場から政府の戦争指導までも公然と批判、東條内閣のもとで弾圧されるに至った「忘れられた」学生思想運動の系譜を発掘・再評価した。最近では「教育のビジネス化とグローバル化」(『岩波講座現代8 学習する社会の明日』所収、岩波書店)、「参加型パラダイムは民主化の夢を代替しうるか?―ポスト代表制の学生自治」(『反「大学改革」論』所収、ナカニシヤ出版)、「知の変容とアカデミズム―講座制・教養部・師弟関係」(『教育社会学のフロンティア2 変容する社会と教育のゆくえ』所収、岩波書店)など、様々なテーマに取り組んでいる。妻も大学教授で、娘二人の父親でもある。



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