半世紀もの長い眠りから目覚め、C・Gユングの非公開の書「赤の書」がついに公刊。

赤の書

本書の特徴本書の特徴
  • 世界数カ国で翻訳出版
    英語版、ドイツ語版、日本語版のほか、世界数カ国で刊行予定。
  • 134点の美しい絵とカリグラフィー
    大判のページいっぱいの絵が53点、カリグラフィーの文字の合間に驚くほど精密に描き込まれた大小の絵が81点含まれる。オリジナルの美しい色合いを忠実に再現するため、カラーページはすべて、優れた印刷技術を誇るイタリアのモンダドーリ社で印刷。
  • 圧倒的な絵の迫力
    通常の意識状態からは想像もつかない無意識のエネルギーの奔流。ユングが自己実験と呼んだ《無意識との対決》のなかで、この『赤の書』は書かれた。ここに描かれているのは、まさにわれわれの想像を遙かに超えた、人間の無意識の深遠なる未踏の世界の姿である。
  • 研究者必携の貴重な資料
    本書には、ユング思想の中核をなす「元型」「集合的無意識」「個性化の過程」など、その後に展開されたユング心理学の主要な概念の起源がすべて含まれている。ユングの提示する新しい心理療法のモデルを理解するための、決定的に重要な一次資料と言える。
  • 文学、美術、宗教などへの大きな影響
    本書の内容はきわめて文学的な形式をとっており、かつあらゆる芸術領域や、魂の救済を説く宗教領域の人たちにも多くの示唆とインスピレーションを与えてくれるだろう。
赤の書の特徴

ユングは第一次世界大戦前から、精神病的な恐ろしいヴィジョンを体験した。その後は、むしろ積極的にイメージを呼び起こして、記録していく。この『赤の書』は、その記録と、それについてのユング自らの解釈から成り立っている。存在が知られていながら、秘密に包まれ ていた本書を読み、見ることができるのは大きな喜びである。これは、後のユングの思想全てをいわば生の形で先取りしていて、個性化の過程をはじめ、ユングが理論的に書いていたことも、ほとんど全て自分で体験したことに読者は驚かされるであろう。キリスト教の神の再生という課題が目立つようであるけれども、むしろ生け贄と死者の贖いという人類の魂の古層に届いている本である。


こころの未来研究センター教授 河合俊雄