校正のこころ
大西寿男著
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プリバリ印 2010年2月号
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『校正のこころ』大西寿男著は、校正の現場に長く携わってきた著者がその豊富な経験をもとに、校正という仕事の役割とあるべき姿について解き明かす画期的「校正論」である。
著者は校正の歴史と変容を追って、校正の仕事の詳細とそこに繰り広げられる知恵と工夫を開陳し、併せて出版界でも的確に理解されているとは言いがたい校正の仕事が、どんな問題や矛盾を抱えているかにつき言及する。
校正に長い間求められてきたのは、原稿とゲラを正確に照合する「引き合わせ」だったが、デジタル化の時代となり、短期間に草稿を完成原稿へと仕上げる「素読み」へと力点が変わったという。また日本語変換ソフトの進化が、漢字の多用と同音異義語の誤変換という副作用を生んだ一方、若い世代における漢字表現の再発見につながったことなど、実に興味深い。
ネット時代の今、日本人はこれまでになく自分で編集し発信する道具を手に入れた。しかしそれだけでは決定的に欠けている大切なものがあり、それこそが校正する力、「校正のこころ」ではないかと著者は問いかける。
紹介される校正の実態は、印刷に携わる者にとって、改めて納得すると同時に新たな発見も多いのではと思われる。なかでも「校正のこころ」の根本にあるべきとされる姿勢、言葉に対する「積極的受け身」については、共感するところ大ではないだろうか。後半では「校正のためのQ&A」に多くのページを割き、現場を熟知するがゆえの豊富な事例を解説している。巻末に添えられた丁寧でわかりやすい「注」の解説と併せ、言葉と出版を愛してやまない著者ならではの「校正のこころ」を隅々まで感じ取ることができる。
(後略)
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