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観点変更
今中博之著

  • 月刊美術 2009年11月号
  • 著者は1963年京都市生まれ。先天性両下肢障害という百万人に一人の身体的障害を負い、レーモンド・ローウイの「口紅から機関車まで」に出会ってデザイナーの道へ。「デザインとは何か」を考える中で、デザインとアートの乖離を認識。自らは"ソーシャルデザイン"を目指すことに。その第一歩がアートに特化した知的障害者のための通所施設「アトリエインカーブ」の設立。指導は一切行わず、ただ絵を描きたくなる環境を整えるだけ、という同施設の通所者5名による展覧会「現代美術の超新星たち」がサントリーミュージアム[天保山]で開催されたのは昨年初めのこと。それに先立って彼らの作品はニューヨークでも公開され好評を博した。いずれも"障害者の"という冠を排した"芸術家"としての評価だ。芸術というフィールドにおいては、障害者も健常者も関係ない、障害者の絵画も同列に評価されるべき、という考えは首肯できる。が、さまざまな出会いがあって、インカーブと"超新星たち"が生まれたことも事実。あえていえば特殊な事例ともいえる。社会の真の理解や、福祉の充実を得てはじめてこの特殊は普遍につながる。いや問題の山積は、著者がなお自覚するところ。その目指すところは、世界の内角を鋭く抉るインカーブを投げ続け、さまざまな"観点変更"によってあるべき社会をデザインすることに他ならない。

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