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観点変更
今中博之著

  • 京都新聞 2009年10月11日
  • 山本和弘氏(美術評論家)評


    福祉と芸術の融合が生んだ力


    「福祉」と「芸術」の幸せな融合、それが著者の目指す21世紀の社会である。その先行事例として自らが理事長を務める社会福祉法人アトリエインカーブの全容が紹介される。驚くべきはその高いクリエイティビティーと高い生産性。少数精鋭の知的障害のあるアーティストたちとスタッフたちによる現代美術と優れたデザイングッズは既に世界から高い評価を得ているという。
    だが、その評価も順調に獲得されたわけではない。アウトサイダーアートとして分類しようとする旧来の美術界に対して、現代美術としての正当な評価を求める妥協のない態度があって初めて得られたものなのである。
    (中略)
    本書の重要性は、インカーブの活動や著者の理念の紹介にとどまるものではなく、「福祉と芸術の融合」を政策提言として具体化していることである。例えば、これまで贈与の領域に甘んじてきた福祉と芸術を市場の領域で活性化させようとする。
    (中略)
    インカーブとは、内角を鋭くえぐる野球用語。本書は既存の社会システムに安住するわたしたちの心を深くえぐる感動の書であると同時に、来るべき社会の設計図を示す希望の書でもある。

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