
船場吹き寄せ
和田亮介 著
伝統商法や文化 軽やかにつづる
著者は船場の老舗、和田哲会長。知る人ぞ知る"文人経営者"だ。その名にふさわしく、評論集の本書は船場の伝統商法のことから、文化と世相、ふるさ
と出雲、プロはだしの尺八を通じた芸の縁など多岐にわたる。書名にある「吹き寄せ」のように小文の寄せ集めだが、テーマが不易で貫かれていて一気に読め
る。
際立つのは旧家に育ったことによる教養の深さ。特に出雲の先人や生家、実父のことなど古里への心情があふれる。日没が美しい島根県立美術館の一文は旅情を誘う。軽妙な筆致とともに、味わい深い読後感はそのせいだろう。
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