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ヴォーリズ建築の100年
山形政昭 監修

  • 奈良新聞 08年11月9日
  • 黒田睦子氏評(奈良まちづくりセンター副理事長)

    個性表現より使う人最優先

    大阪芸術大学教授である監修者は、「ウイリアム・メレル・ヴォーリズの建築をめぐる研究」で学位取得され、ヴォーリズに心底、魅せられたのだろう。本書は百年にわたるヴォーリズ建築の集大成であり、ヴォーリズの全貌を明らかにする。
    明治三十八年、アメリカから滋賀県近江八幡市の県立商業高校に英語教師として来日したヴォーリズ(一八八〇-一九六四年)はキリスト教伝道に熱中するあまり、二年で教師を解雇されるが、やがて建築設計管理事務所を開設する。「人間は常に平等というのを建築設計の理念とし、住む人、使う人の健康と福祉を最優先するキリスト教精神」を表現した教会、学校、住宅などは、日本全国で千棟を超える。
    ヴォーリズ設計の瀟洒な住宅にたたずむと、私はいつも深い安らぎに包まれる。どの建物も慈愛に満ちて温かく、特に階段の傾斜は緩やかで、初段の角は丸く、手すりは手のひらに寄り添う。階段のデザインはヴォーリズ設計の紛れもない特徴である。監修者は「深いヒューマニズムの発露であり、建築家の持つ作家的個性の表現とは類の異なる建築活動」という。

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