
なにわ大阪 食べものがたり
上野修三 著
(「味わい本発見」より)
青木るえか氏評(エッセイスト)
コテコテではない大阪らしさこそ、残すべき大阪の良さ
大阪の味、というと何になるのだろう。
大阪に住むことになってまっさきに気になったのがそれであった。
(中略)
大阪の味がタコヤキやドテヤキやお好み焼きというのは「わかりやすくておぼえやすいけどそれはあくまで観光客向けの看板みたいなもん」だということを、大
阪に暮らしてみると知るわけである。大阪の味って、言われているよりもずっとあっさりしてるし繊細で、それほど大阪を主張しないものだ。それって味だけで
はなく、大阪という土地そのものについても言える。大阪は決してコテコテではない。
『なにわ大阪食べものがたり』を読んでいると、「ほんとうの大阪の味」が、昔の大阪っぽい語り口調で、淡々と紹介されている。ぜんぜんハデじゃない。今ど
きのロハス(キライですけどね、ロハスブームは)といってさえいいような、旬のものからじわっとしみ出てくる淡い味わいのようなものが、ページをめくって
もめくっても出てくる。鴨鍋、なんていう脂っこい料理のことを書いていても、あっさりした透明なダシの味が読むだけで口中に溢れる。
このハデでなさが世間にはウケないのかもしれないが、大阪ってこういうもんだと思う。で、それが大阪の良さで、それを大阪は残さないといけないのだと思う。
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