肴のある旅
中村よお 著
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ぴあ関西版 06年10月5日号
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坪内祐三氏評
中村よおさんの新刊『肴のある旅』(創元社)が出た。
例によって素晴らしい。
(中略)
サブタイトルに「神戸居酒屋巡回記」とあるように、これは、中村よおさんの馴染みのある(あった)、神戸の居酒屋を巡るエッセイ集だ。
(中略)
そういうガイドブック的興味はぬきに、作品として、私は、このエッセイ集を堪能した。文章にケレンがないのも素晴らしい。
ここ十年ぐらいで出会った居酒屋エッセイ集のベスト1だと思う。
本屋でこの本を見かけた読者は、例えば、「元町金盃 夏は天ぷら冬は関東煮」という一文を立ち読みしてもらいたい。
続けて別の文章が読みたくなったら、本を持ってレジに向かいなさい。
立ち読みしても何も感じなかったなら、あなたはこういう世界とは無縁な人間です。サヨウナラ。
(中略)
宣伝酒場をはじめとする普通の居酒屋とチェーン店系飲み屋の最大の違いは何だろう。
それは、普通の居酒屋にいると、最初の内、時がゆるゆると流れ、嬉しいなまだまだいられるぞ、と思っている内に、いつの間にか、あっという間に時が経って
しまうことだ。そしてそれは、この中村よおさんの新刊の読書体験に似ている。つまりこれは、い心地の良い居酒屋のようなエッセイ集だ。
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