
旧暦読本
岡田芳朗 著
(今月の「イチ押し!」より) 古くて新しい季節の味わい方 味のある装丁を開くと、図版とともにあらわれる「こよみ」に関する古今東西のエピソードのあれこれ。明治六年(1873)までの約1300年間、わが国で使用されていた旧暦と、現在使用されている新暦の違いから、江戸時代に各地でつくられたご当地の地方暦の紹介、さらにアジアとヨーロッパのこよみまで、幅広く解説されている。 中でも面白いのは、一年を二十四の季節に分けた二十四節気とそれをさらに三等分に分けた七十二候の季節の名称である。春分の頃(三月下旬)には「桜始開(さくらはじめてひらく)」や寒露(十月中旬)には「蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)」などといったものがあり、その字を見るだけで桜が咲き始める春や、秋になり蟋蟀が戸で鳴く様子が思い浮かぶようである。月名にも「睦月」「如月」という陰暦だけでなく、「元月」「令月」という数種の異称があり、昔の人はこんなにも多くの種類のこよみを使い分けていたのかと驚かされる。 カレンダーの数字を見て、仕事に追われる毎日を嘆くだけでなく、たまには旧暦で「季節感」を味わってみてはいかがだろう。
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