TOP > 創元社の本 > 書評一覧
mb50119m.jpg

都市再生・街づくり学
大阪市街地再開発促進協議会 編

  • 建築と社会 08年10月号
  • 弘本由香里氏評(大阪ガスエネルギー・文化研究所客員研究員)

    近代化、戦災、高度経済成長の三つの激しい波にさらされてきた街づくりの現代史を背景に、同書の執筆者である現役の都市再生のプロフェッショナルたちがまさに格闘してきた、高度経済成長期からバブル経済崩壊、阪神・淡路大震災、そして縮小形社会に向き合っていく軌跡を真摯に振り返っている。未来への資産として伝え活かすべき知恵や教訓を明らかにし、まちの形成に関する歴史の断絶、地域のコスモロジーと記憶の断絶を克服すること。そして自己肯定可能な街づくりへシフトしていくために、街づくりに携わってきたプロフェッショナルがなしえる、次世代への贈り物として産み落とされたのが、同書なのではないかとの率直な感慨を覚えた。
    とりわけ印象深いのは、執筆者によるメッセージが二つの断絶の克服に向けて発信されていると思われる点である。一つは、スクラップアンドビルドを中心として従来型の再開発事業の枠を越え、地域の持続的な発展に欠かせない広義のまちづくり領域との連続性の中で、ストック活用型の再開発へ経験とスキルを発展的に転換していく必要性を説いていること。(略)もう一つが、プロフェッショナルの必須の仕事として、まちのライフストーリーを一般市民とともに築き上げていくことの重要性を物語っていること。
    (中略)
    編集長として同記念出版事業に携わった高田昇氏は、巻頭で「街には魔物が棲んでいる。・・・(中略)・・・私たちは再開発という街づくりの手法を発明し、街に棲む魔物と対峙し、都市の再生をめざした第一世代だといえる」と記している。大規模再開発から身の丈再開発、市街地再々開発、ニュータウン再生、震災復興、長屋再生・・・。魔物と対峙したプロフェッショナルだからこそ語り得る教訓と提言の数々。次世代へのメッセージが、執筆者一人ひとりからひしひしと伝わってくる一冊である。

  • 戻る >>