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家裁調査官のこころの風景
中村桂子 著

  • 社会新報 06年9月13日
  • 助けがあればやり直せる

    家裁で調停委員を務める知人がいる。その彼女からのお勧め本である。
    著者は37年余、家裁で調査官を務めた人。思い出に残る事例から、人間の素晴らしさ、難しさを感じ、事例と先輩諸氏に感謝の思いを込めて、退職後この本をまとめたとある。
    掲載の事例は10年、20年、30年前に出会ったもので、それぞれのドラマは感動的であるが、ここでは子どものケースを主として見ていきたい。
    うるさい、むかつくなどよく聞く言葉だが、主体性が弱くなると人は感覚を頼りにするのだとか。シンナーは「何とかしてのサイン」と読む。こうしたサインをしっかり受け止める大人たちの存在が調査官を支えることにもなるだろう。
    「学校は絶対に行かなければならないものではない」。この言葉も最近ようやく認知されるようになったかと思われるが、不登校児も夏休みはホッとするよう だ。"絶対"は主体性を硬直させる。調査官の「することがないというのは人間として不幸なこと」に応えて、「夏休みにアルバイトをしたい」という。居場所 が与えられる、憩うことで明日の自分のために生きていく力を発揮した子の話である。
    子は親の離婚をどう乗り越えるのだろう。小2の女の子が「あの人(母)は強そうだけど本当は弱いの。だから私が支えてあげるの」という。大人が考えるよりはるかに分かっている。「幼い子にもきちんとした説明をする」努力をしたとある。
    人は人の助けがあればやり直せる。そんな思いを強くした本だ。

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