戦争PTSDとサリンジャー
野間正二著
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京都新聞 05年11月30日
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サリンジャーに新しい評価 戦争PTSDの視点から読み解く
「国際理解は文化を理解すること。外国人と話すことでなく、文学をしっかり読むことが大事」と外国文学を学ぶ意義を話す。
専門は米文学。近著「戦争PTSDとサリンジャー」では、サリンジャーの「エズメに」など短編三作を、戦争によるPTSD(心的外傷後ストレス症候群)の視点から読み解いた。
「サリンジャーの活躍した一九五〇年代当時、戦争で負った心の傷を個人の責任と矮小化して、それらの人々の発言自体も圧迫した」と野間さんは言う。サリンジャーはそうした風潮に挑み、分かりにくい形で作品にメッセージを忍び込ませたとみる。
(中略)
「書くという行為で、苦しい思いを『再体験』し、癒された部分もあったはずだ」。第二次世界大戦で従軍し、森の中で隠せい生活をしたサリンジャー自身もPTSDだったと推測する。
その不条理な作品世界や「奇行」から、サリンジャーは「純粋な魂を持つ」「無垢に魅せられた」などとされ、技巧を用いず率直に表現する作家と評されてきた。この見解に対し、本著と前著「『キャッチャー・イン・ザ・ライ』の謎を解く」で、違う評価を与えることができたと自負する。「サリンジャーは実は現実社会と接点を持ち、すぐれた技巧を駆使していた作家だった」
(中略)
生活習慣や文化、食べ物などが違うのに、外国文学はなぜ日本人にも面白いのか。「その理由を解き明かすことが日本を考えることにつながる」と話す。
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