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戦争PTSDとサリンジャー
野間正二著

  • 神戸新聞 06年1月8日
  • 岡野宏文氏評(フリーライター)

    ゆっくり読むことの提案

    (前略)
    本書は、彼の短編集「ナイン・ストーリーズ」のうち、「エズメに」と「愛らしき口もと目は緑」と「バナナフィッシュにうってつけの日」の三本を、戦争による心的外傷後ストレス障害(PTSD)を描いた三部作であると見なし、作品中からいくつもの謎を取り出しながら、PTSDをキーワードに使ってより深い読みに達しようとする評論だ。
    (中略)
    もちろん、それらはそれらでミリテリーじみたスリルと醍醐味があり十分に楽しい。しかし本書からの最良のメッセージは、本をゆっくり読んでみることの提案にほかなるまい。特にサリンジャーのような豊かな小説なら、ゆっくり読むことで初めて見えてくる真理と、奥深い世界のあることに誰もが気づかされるはずだ。
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