戦争PTSDとサリンジャー
野間正二著
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英語青年 06年3月号
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下河辺美和子氏評
(前略)
本書の謎ときは『ナイン・ストーリーズ』の中から「エズメに」「愛らしき口もと目は緑」「バナナフィッシュにうってつけの日」の三つを抽出することによって一つの筋書きを提示することで行われる。著者はこの三作品を「反戦三部作」という名でくくり、そこに「戦争によるPTSDのもたらす痛ましい結果」(6頁)を読み取っていく。
(中略)
戦争を間接的に批判するサリンジャーの社会性がこうして読み取れるという論旨には、「従来のサリンジャー像を大幅に修正できた」(196頁)という著者の自負が込められている。
本書の魅力は何といってもテクストの読みの鋭さにある。一つのセリフ、一つの副詞からその状況をぐいぐいひきよせていく。
(中略)
演劇関係の著作もある著者の手腕のさえるところである。
謎解きのクライマックスは「バナナフィッシュ」の中の一つの記号に向けられる。
(中略)
見事な読みである。「読書は仕事ではなく楽しみ」(195頁)であるという主張が納得できる。
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